2015年6月6日土曜日

都構想に敗れた橋下大阪市長の進むべき道

「大阪都構想」の賛否を問う住民投票に敗れた橋下徹大阪市長が17日の記者会見で政界引退を表明した。併せて橋下氏が最高顧問を務める「維新の党」では江田憲司代表も辞任する意向を示した。近く代表選を実施するそうだ。
 当事者の橋下氏の市長辞任をともかく、たかが一地方自治体の再編話で50人超の国会議員を束ねる政党の代表が辞任するのでは政党としての存在価値を否定するに等しい。江田代表には橋下ショックを乗り越え引き続き職責を全うして欲しいものだ。
 それにしてもの橋下市長である。記者会見では
「僕みたいな政治家が長くやる世の中は危険。ハンドルを握ってはいけない。ワンポイントリリーフ。権力なんて使い捨てでいいし、敵をつくる政治家が世の中にずっといるのは害だ。それが健全な民主主義というものです」
 と相変わらず毒気を吐いていた。ワンポイントリリーフにしては大阪府知事就任からの7年半は長過ぎよう。都構想の是非はともかく、地方行政のトップとして培った経験を活かし、さらなる高みを目指すことを多くの大阪市民が望んでいるのではなかろうか。
 その意味では橋下流政治に対する期待値の表れでもある住民投票の結果だった。
 市選管によれば、投票率66・83パーセント。二者択一の住民投票とはいえ、橋下氏の掲げた「大阪都構想」が大阪市民の自治意識を高めたことは間違いない。しかも自民、公明、民主、共産の既存政党を敵に回して一万票の僅差の敗北。二度やれば、賛否逆転してもおかしくない数字である。
「負けは負けです。戦を仕掛けてこちらが叩き潰された。これが民主主義なんです。でも負けても命まではとられない。日本の政治体制は素晴らしい」
 橋下氏は記者会見でこう述べていたが、そうではない。誰もが勝者になり、敗者になり得るのが民主主義であり、敗者の声を民意として汲み上げるからこそ日本の政治は素晴らしいのである。

その意味で「大阪都市構想」は否決されてしまったが、橋下氏の存在までもが否定された住民投票の結果ではない。政治家として一皮むけた橋下氏が国会の赤絨毯を踏まんことを望むところだ。

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