2012年11月29日木曜日

嘉田滋賀県知事の「卒原発」第3極新党を歓迎する

来月4日の衆院選告示を前にもう一つ、第3極に新たな結集の動きが出てきた。
「脱原発」を掲げた新党の結成を検討している滋賀県の嘉田由紀子知事(62)の下に「国民の生活が第一」(小沢一郎代表)や「みどりの風」(谷岡郁子共同代表ら)、「減税日本・反TPP・脱原発を実現する党」(河村たかし・山田正彦両共同代表)らが大同団結して民主VS自民、公明両党に「日本維新の会」を加えた三つ巴と言われる選挙戦の構図に割って入ろうというのだ。
嘉田知事は「脱原発」の他に「TPP参加凍結」「消費税増税凍結」などを公約の柱にする方針であり、政策的には各党に大差はないから合流は充分に可能である。少なくとも選挙優先で政策を度外視して合流した「日本維新の会」(石原慎太郎代表、橋下徹代表代行)よりは解りやすいし、きっと国民有権者も歓迎してくれるに違いない。
さて、そうなると気になるのが残る第3極の身の振り方だが、「みんなの党」(渡辺善美代表)と「日本維新の会」の合流話は暗礁に乗り上げている。ネックになっているのは選挙区事情によるところが大きい。
「日本維新の会」は26日時点で149人、「みんなの党」は60人の公認候補を決めている。このうち22人が小選挙区で競合することになるから共倒れは必至だ。
 だったら「じゃんけんで決めてもいい」と合流要請した橋本代表代行の発言に渡辺代表が不快感を示したのは周知のとおりだ。だからといってこのまま選挙戦に突入すれば、「みんなの党」は2分化した第3極の中で埋没してしまうことにもなりかねない。政策的な一致を見出せるものなら、選挙区調整の小異を捨てギリギリまで合流に向けた努力を続けてもらいたい。
 何より政党の数が14もあるのは異常だ。第3極新党の乱立は民主VS自民の2大政党を利するだけである。その分、当落に影響を与えない死票が増えて国民有権者の意志が国政に反映されなくなる危険を孕む。本来ならば、2大政党がウィングを広げて国民の多様なニーズに応えるべきだが、民主、自民両党共に純化路線に向かっているようだから期待できない。
 近い将来、定数是正、削減だけといわず、衆参両院の在り方を含めた抜本的な選挙制度の改革が待たれるところだ。

2012年11月26日月曜日

衆院選の争点に急浮上した安倍自民「経済再生策」の吉凶

衆院選の争点に急浮上した安倍自民の政権公約

 安倍自民党は21日、政権公約をまとめた。大まかには政権を担うにふさわしい出来映えである。詳細は他に譲るが、注目しておきたいのは、国民有権者の多くが渇望する「経済再生」を前面に打ち出していることだ。
 何より民主党政権時代の「縮小均衡の分配政策」から「成長による富の創出」への転換を図るとして、「名目3%以上の経済成長」を目標ではなく、「達成する」と明記している点に政権復帰への意気込みが伝わってくる。
 具体的にはデフレ・円高からの脱却を最優先に「物価目標を2%」に設定し、場合によっては「日銀法を改正」してでも政府主導で「大胆な金融緩和」を実現。残る1%、つまり名目成長率から物価上昇率を差し引いた実質成長分を先にまとめた総額100兆円規模の「国土強靱化」策、つまりは公共事業を推進することで稼ぎ出す算段だ。
 乱暴な言い方をすれば、政府発行の建設国債を日銀に強制的に買い取らせて公共事業をやれば「経済再生」ができるということか。
「政権を取ったらまずは補正予算を大きく組む。(景気に)即効性のあるものを検討中だ」
政権公約を取りまとめた自民党の甘利明政調会長は21日のテレビ番組でこう述べていた。
ずいぶんと気前の良い話だが、その景気対策の原資を国債で賄うとなれば、手放しでは喜べない。
「公共事業をばらまき、日銀に全部ツケ回しするということだ。軍事独裁政権じゃあるまいし、公党の代表としてはもちろん、一国のリーダーとしてもふさわしくない」(中塚一宏金融担当相)
「財政規律が失われ、金利上昇や急激なインフレを招く怖れがあり、禁じ手だ」(城島光力財務相)
 政府内からこんな批判が出てくるのも当然だろう。
 だがしかし、だからこその選挙公約であり、選挙を通じて各党の論戦を期待したいところでもある。
 自民党は「ウソつき」呼ばわりされたくなければ今のうち、政権公約の一つ一つを丁寧に分かりやすく国民に説明しておくことだ。

サルでも解る世論調査と衆院選獲得議席の相関関係

 次期衆院選の獲得議席数を世論調査の結果から予想してみた。ざっくりとした数字だが、まずは投票率を前回09年、前々回05年の衆院選と同レベルの70%程度と仮定すると、投票総数は小選挙区、比例区共に約7000万票だ。このうち強固な支援組織を持つ既存政党の基礎票を過去の実績から弾き出してみると、最悪でも民主党1600万票、自民党2000万票、公明党800万票、共産党300万票、社民党100万票は獲得するはずだ。そして、これを全部足した4800万票を得票総数7000万票から差し引いた残りの2200万票が、選挙の風に左右されるいわゆる無党派層の票ということになる。
周知のとおり、前回衆院選で300議席を獲得した民主党は小選挙区で1800万の無党派票を上積みして自民党に競り勝った。前々回、自民党が300議席を獲得した小泉郵政選挙はこれの逆パターンだ。小選挙区の民主VS自民の基本構図は今回も変わらない。注目の「日本維新の会」、「国民の生活が第一」、「みんなの党」など第3極新党の候補が小選挙区で民主VS自民の構図に割ってはいるのは容易ではない。小選挙区300のうち、当選の可能性があるのは前職、首長経験者や大阪限定の新人候補を合わせてもせいぜい30~50議席止まりだろう。
第3極新党浮沈のカギを握るのはやはり比例区180議席の行方である。仮に第3極新党が公示前に一つの党に結集し、無党派層の2200万票を総取りしたとすれば一議席30万票の比例区で70議席を獲得、小選挙区と合わせ120議席となり、政局のキャスティングボードを握る堂々たる第3極だ。
「日本維新の会」と「太陽の党」が政策の一致をみないままに合流したのはそのためだ。野党から野合批判を浴びるのは当然だが、それでも毎日新聞が行った直近の世論調査で13%が比例の投票先に「日本維新の会」を上げている。トップは自民党の17%、民主党は12%で維新に追い抜かれてしまった。
 現時点、少なくとも比例区では民主、自民両党と第3極新党の三つ巴の争いになりそうな調査結果だが、支持政党を決めるのは政策をよく吟味してからでも遅くはない。

2012年11月19日月曜日

野田民主党は「奇襲解散」でいったい国民に何を問うのか

 野田佳彦首相が14日、自民党の安倍晋三総裁との党首討論で「16日に解散してもいい。やります」と述べたのは、周知のとおりだ。
「次期通常国会で(衆院の)定数削減を必ずやると決断してもらえるなら」との条件付きとは言え、野田首相が具体的な解散日にまで踏み込んだのは想定外だった。
 とはいえ、早期解散は自民、公明両党だけでなく、多くの国民有権者が望むところであり、野田首相が示した定数削減のハードルも決して高くはない。
 自民党はさっそく、党首討論後の幹部会で「首相の提案に全面的に協力する」(安倍総裁)方針を決めている。
民主党が同日に国会提出した衆院選挙制度改革法案は一票の格差是正の「0増5減」と比例定数「40削減」を盛り込んでいる。野田首相はこのうち、自公両党が難色を示している定数削減について次期通常国会で実現するよう確約を求めている。つまりは、かねてより自公両党が主張してきた「0増5減」の優先処理を追認したにすぎないのだ。
それでいったい野田首相は何を掲げて国民に信を問うつもりなのか。一部報道では、「第3極の選挙態勢が整う前の解散で選挙を有利に戦いたい」との思惑を指摘するが、問うべき信がなければ、選挙戦術もへったくれもない。いわば、民主党候補者を素手で戦場に送り出すようなもの。何より、国民有権者を愚弄する前代未聞の解散劇となろう。
党首討論後、民主党の輿石東幹事長は、「16日に解散したいと首相が言ったのだから、撤回することはないだろう。首相が首相の専権事項で首相が判断したのだから、それでいいのではないか」と述べているが、党内はそうすんなりと収まりそうにない。
解散を阻止するため、鹿野道彦前農林水産相を指示するグループは同日、輿石幹事長に対して両院議員総会の開催を申し入れた。閣僚からも解散の署名を拒否する声も上がっている。
このまますんなりと16日解散に突き進むのかどうか。

2012年11月15日木曜日

毎日新聞「16日」解散スクープ報道に永田町の疑心暗鬼

 解散時期をめぐる与野党の攻防は今週がヤマ場となる。早期解散を求める国民世論の声は日毎高まるばかりだ。だからか、マスコミ報道も年内解散に前のめりである。11日夜に行われた野田佳彦首相と民主党の輿石東幹事長との会談を受けて「年内解散に踏み切る意向を固めた」(朝日新聞)、「最短で今週末16日解散・27日公示・12月9日投開票とする案も浮上」(毎日新聞)と報じている。
 是非そうあって欲しいものだが、会談では野田首相が解散3条件としている特例公債法案、衆院選挙制度改革法案の成立と社会保障改革国民会議の設置に向けた野党との調整、東京都知事選や次期衆院選への対応などが話し合われたようだが、解散時期に言及したかどうかは定かではない。
12日に行われた衆院予算員会では自民党の山本有二元金融担当相が「うそつきにならない年内解散。うそつきになる来年の解散。どちらか」と迫ったが、野田首相は「特定の時期を明示するつもりはない」となおも明言を避けている。
 野田首相からすれば、そもそも何故に解散時期を明示しなければならないのか。もっと言えば、野田首相が「近いうち解散」を明言したのは8月だから、今さら解散がいつになったとして嘘をついたことに変わりない。どうせ嘘つき呼ばわりされるのであれば年末、せめて自らが手がけた来年度予算案を掲げて国民に信を問いたいとの思いもあろう。
「12月9日投開票の日程なら第3極の準備が間に合わない。脱原発とTPP(環太平洋パートナーシップ協定)推進、(衆院の)定数削減を争点にする」
 毎日新聞は年内解散の根拠として野田首相に近い与党幹部のこんな発言を引用している。
 だが、この発言が首相周辺から出たものであれば額面通りには受け取れない。
折しも12日午前、東京高裁で「国民の生活が第一」の小沢一郎代表に無罪判決が出ている。あるいは首相周辺がこの無罪判決報道を潰すため、子飼いの記者に年内解散をリークしたとも考えられよう。それとも野党に審議協力を促すための騙し絵に使ったのかもしれない。疑えばキリがないが、答えは直、明らかになる。

2012年11月13日火曜日

安倍自民の「太陽政策」と石原「太陽の党」が織り成す不可解な季節

 野田佳彦首相が解散条件の一つと位置づける特例公債法案が8日に審議入りする。自民党の安倍晋三総裁が「太陽政策」にカジを切ったことから法案成立のメドは立った。次はこれに野田首相がどう応えるかだ。安倍総裁は今週中に衆院解散の可否を明らかにするよう求めている。
 ところがこの期に及んでもなおも野田首相は「(衆院解散の)環境整備をするのが前提だ。聞きたい事があるなら、党首討論で国民に見える前でやった方がいい」と述べて言葉を濁す。党首討論は週明け14日に開催の予定だ。
 自民党内には「民主党は料金を一度も払わず、ご飯だけ食べる。安倍さんは新しくできた執行部だから食い逃げに免疫がない」(伊吹文明元幹事長)と安倍総裁の太陽政策を懸念する声もある。期待半分、とりあえずは野田首相の出方を見守るしかなかろう。
 週明けにはもう一つ、東京都知事選(11月29日告示、12月16日投開票)に向けた動きも慌ただしさを増す。政権復帰を目指す自民党にとっては試金石となる首都決戦だ。6日には党本部で安倍総裁、石破茂幹事長ら執行部と石原伸晃会長、内田茂幹事長ら都連幹部が対応を協議したが、結論を得るまでには至らなかった。
自民党内には石原慎太郎前知事の後継指名を受けた猪瀬直樹副知事を推す声があるものの、都議会自民は猪瀬氏の人間性に疑問符を付けて難色を示している。
あるいは候補者調整にもたつくようなことになれば、ギリギリのところで知事選の陣頭指揮をとる伸晃氏の出馬を促す声も出てこよう。
伸晃氏であれば猪瀬氏と同様、第3極の結集を目指す「石原新党」との全面対決は避けられるが、先の自民党総裁選での発言を持ち出すまでもなく、こちらも人間性には大いに疑問符が付く。ましてや都知事の親子禅譲には都民の反発もあろう。いずれにせよこの一週間、出ては消えての候補者擁立のドタバタ劇は続くことになろう。
それにしてもだ。都知事選で独自候補の擁立もままならず、どの面下げて年内解散を迫れようか。万が一にも第3極に相乗りするようでは民主党の人材不足を笑えまい。

2012年11月8日木曜日

安倍自民の太陽路線転換で囁かれる解散密約説

直近の世論調査で野田内閣の支持率は共同通信17・7%、読売新聞19%、フジ産経グループ21・5%で各社とも政権発足以来、過去最低となった。不支持は逆に共同通信66・1%、読売新聞68%、フジ産経グループ65・7%となり、過去最高を記録した。 
政権末期を裏付ける数字だが、幕引きするにしても国民生活への配慮は欠かせない。政治に知恵と良識が求められるところだ。
とりわけ注目しておきたいのが、政権復帰が確実視される自民党の対応である。遮二無二年内解散に突き進むだけでは、それこそ無責任野党の誹りは免れない。
だからだろう、先の自民党総裁選で最強硬派と目されていた安倍晋三総裁も柔軟路線に転じている。5日のテレビ番組で安倍総裁は解散時期について「12月9日か16日が投開票の限度で、11月22日には衆院を解散しないといけない」と述べ、特例公債法案と衆院選挙制度改革法案の早期成立と社会保障制度改革国民会議の設置に協力する姿勢をより鮮明に打ち出した。
永田町では柔軟姿勢に転じた安倍総裁と野田首相の年内解散の密約説が流布されているが、そうではなかろう。安倍総裁が政局より国民生活を優先すれば、結論は自ずとそうなる。
 その上で野田首相が年内解散を決断してくれれば言うことはないが、先のテレビ番組で安倍総裁は「自民党が与党になれば来年度予算を組み直さないといけない。(予算の成立は)来年4月を大きくまたぐことになるから、暫定予算になる」とも述べている。国会日程上、解散総選挙の時期が年明けにずれ込むことを想定しての発言だ。
公債特例法案は今週、野田首相がアジア欧州会議(ASEM)首脳会議から帰国する7日以降に審議入りする。民主党は16日までに衆院を通過させ、22日頃に参院で可決・成立させる日程を描くが、残る衆院選挙制度改革法案は野田首相がなおも定数削減にこだわっているため、先行きに不透明感漂う。早急に野田首相と安倍総裁のトップ会談で結論を出すことだ。

2012年11月3日土曜日

安倍圧勝の代表質問と参院正常化で見えてきた解散シナリオ

 自民党の安倍晋三総裁は31日に行われた衆院の代表質問で、経済対策への取り組みを理由に解散先延ばしを図る野田佳彦首相に対して「国家国民のために一国も早く信を問うことが最大の経済対策だ」と言ってのけた。
 安倍総裁はまた、懸案となっている特例国債法案の成立や衆院の定数是正、社会制度改革国民会議の早期開催に協力する姿勢を示した上で「これらに積極的に取り組まず、責任を野党に押し付け、政治空白を作ったのはあなた方だ」と厳しく批判した。まさに我が意を得たり、本欄が指摘してきたとおりの発言である。
 ところが野田首相はまったく意に介さず、逃げの答弁に終始。両者初の論戦は安倍総裁の圧勝に終わった。
 ただ、だからといって野田首相を直ちに解散総選挙に追い込めるわけではない。まずは国会審議の土俵に上がらなければ、逆に解散先送りの口実を与えてしまうことになる。
 案の定、代表質問に立った民主党の仙谷由人副代表は自民党が野田首相の所信表明演説を参院が拒否し、衆参で国会対応が異なることを批判。さらに同党の輿石東幹事長は、自民、公明両党が求める衆参両院での予算員会開催について「首相の考え方を基本に議論を展開してもらうのが普通の道筋だ」と述べて背中を向けたままだ。参院自民党の強硬姿勢が、結果として野田政権の延命に手を貸す珍妙な構図である。
 困った自民、公明両党をはじめとする野党各党は、2日に参院本会議を開き、先の国会で問責を受けた野田首相の対応をただすための「緊急質問」を行うことをケジメとして、野田首相の所信表明演説を受け入れる大義名分としたいようだ。
「緊急質問」とは耳慣れないが、中曽根政権下の1985年以来だというからそのはず。国会法ではまさに緊急時の場合、参院が議決すれば、首相は本会議出席を拒めないそうだ。
 ともかく、多少の回り道はあったもののこれで参院が正常化に向かうことになろう。国会審議に協力することで野田政権の延命を危惧する声もあろうが、ゴネて寝込んで手を貸すよりはまだマシだ。腹立たしいが、しょうがない。

2012年11月1日木曜日

追いつめられた野田首相の最後の仕事は解散総選挙で政治の混迷に終止符を打つことしかない

臨時国会が始まった。
「いらずらに政局と結び付け、権力闘争に果てしないエネルギーが注がれる政治を繰り返して良いはずがない」
「やみくもに政治空白をつくって、政策に停滞をもたらすことがあってはならない」
 野田佳彦首相は29日に行った衆院の所信表明演説でこんな言葉を並べ立て、野党に審議協力を求めた。参院が野田首相の所信表明演説を拒否したことを当て擦ったもの。確かに言論の府にあるまじき暴挙だが、これを許した野田首相の責任も重大だ。
何より先の通常国会、野田首相が政治生命を賭けて取り組んだ消費税の引き上げは、その野党が政局に結びつけず、審議協力したからこそ実現したもの。この時、野田首相が約束した「近いうち解散」は、いったいどうなってしまったのか。
しかも野田首相は「日本経済の再生が野田内閣の最大の課題だ。道半ばの仕事を投げ出すわけにはいかない」とも述べ、政権維持に意欲さえ見せている。悪あがきが過ぎよう。
28日には、次期衆院選の前哨戦とも言える鹿児島3区の補選で民主党が推薦する国民新党の候補が敗れ、翌29日には党所属の衆院議員2人が離党したため、与党の過半数(240)割れまであと5議席。さらに石原新党の結成にも与党から複数の議員が合流を決めており、このまま野田首相が解散時期を拒み続けたとしても、内閣不信任案が可決されれば万事休すだ。
加えてポスト野田の有力候補の一人である前原誠司国交相にスキャンダル浮上である。秘書の自宅を政治団体の「主たる事務所」として経費計上していたというのだ。
安倍政権下、同様の疑惑で松岡利勝農林水産相が野党に追及されて自殺、後任の赤城徳彦農水相や佐田玄一郎行政改革担当相が辞任に追い込まれたことが思い出される。一部メディアが報じたものだが、事実ならば政治資金規正法に抵触する疑いがある。暴力団との交流で辞任した田中慶秋前法相共々、野田首相の任命責任が問われよう。
もとより政治空白も政策の停滞も許されないが、原因をつくっているのは民主党の党利党略、「近いうち解散」を決断できない野田首相自身にあることは誰の目にも明らかだ。