2013年7月27日土曜日

圧勝自民党参院の議員会長選に暗躍する派閥ボスたちの醜態

「日本政治を長く迷走させてきたねじれに終止符を打つことができた。問われているのは自民党自身だ。一致結束して結果を出していきたい」
 安倍晋三首相は22日、自民党本部で行われた臨時党役員会議でこう述べた。
 まさにその通り。ねじれの解消が国民有権者の多くが求める政治の安定とスピードアップにつながるかどうかは、これからの自民党の振る舞いにかかっている。
 まずは26日に告示となる自民党参院の議員会長選挙がその試金石となろう。
水面下では数に物を言わせた町村、額賀、岸田の参院主流3派が安倍首相に対して溝手顕正幹事長(68)の無投票での昇格を求めている。それぞれの派閥の事実上のオーナーである森喜郎元首相、青木幹雄元参院会長、野中広務元幹事長、古賀誠元幹事長らの強い意向によるものだ。
 この4人は政官業の癒着が批判されたかつての自民党を象徴する存在だ。既得権益にメスを入れる小泉構造改革に立ちはだかり守旧派抵抗勢力と呼ばれたのは記憶に新しい。
 ましてやその彼らが推す溝手氏は確か昨年秋、消費増税法案の成立と引き換えにした「話し合い解散」を主張する安倍首相を「もう過去の人。今、一生懸命リハビリ中で、主導権を取ろうとああいう発言になったんだろう」と小馬鹿にしていたご仁である。
さらに逆上れば3年前の会長選挙で安倍首相は麻生財務相と共に主流3派が推す谷川秀善氏に対抗して現会長の中曽根弘文氏を担ぎ出している。この時は得票が同数となりくじ引きでかろうじて勝利したものの、その後の人事で巻き返されて溝手氏の幹事長就任を飲まされてしまった。安倍首相にとっては因縁浅からぬ相手だ。
加えて今回、主流3派の要求に屈服して溝手氏の会長就任を許してしまえば、安倍首相は参院自民党に政権運営の主導権を奪われかねない。
かといって敵対すればねじれ国会同様、参院の審議に支障をきたす怖れがある。TPPや規制改革など業界団体が嫌がる政策を推し進めるのであればなおさらだ。
圧勝したとはいえ、安倍首相にとっては悩ましくもある参院自民党の会長選挙となる。

2013年7月25日木曜日

民主党の再生を阻む「連合」の既得権益と行き場のない非正規労働者の一票

 参院選は概ね事前に予想した通りの結果となった。ただ、65議席を獲得した自民党は圧勝とはいえ、当初20議席超えも視野に入っていた比例区が18議席に止まった。
 ねじれ解消による政治の安定を求めた国民有権者は自民、公明両党合わせ参院のすべての常任委員会で委員長ポストを独占できる絶対安定多数を与えたものの、一方で勝ちすぎる安倍自民党への一抹の不安が投票行動に表れたのかもしれない。
 惨敗の民主党は前途多難だ。開票を待たずに細野豪志幹事長が辞意を表明した自己保身に悪しき体質と限界が見て取れよう。このまま消滅してしまうのか、再生に向けて歩み出すのか。見極めるにはしばしの猶予が必要だ。
 カギを握るのは最大の支援組織「連合」の存在だ。
 今回、民主党の比例区で集めた710万票は、連合が抱える組合員数とほぼ一致するが、組合員の家族が投じる一票を勘案すれば連合票の民主党離れは否めない。一方で労働組合の組織率の低下も近年顕著となっている。つまりは民主党が頼みとする連合の組織票は二重の意味でジリ貧となるわけだ。
 そうではあれば民主党には新たに安定した票田の掘り起こしが必要だが、「連合」がその足枷にもなる。
 民主党は比例で7議席を得ているが、このうち6人を「連合」の組織内候補が占めている。その分「連合」の民主党に対する発言力は増すことになろう。逆に言えば、「連合」と利害が対立する政策はより打ち出し難い。
 周知のとおり、「連合」は日教組や自治労の左派系官公労と官公労と電機、自動車など中道右派系産別組合の寄せ集めだ。そのことが度々、民主党内の路線対立の火ダネにもなった。 
民主党が原発エネルギー政策や行政改革で中途半端な公約しか打ち出せなかったのはそのためだ。 
加えて言えば、労働者の4割弱を占める非正規社員、パート労働者の待遇改善は政治が最優先に取り組むべき課題であり、多くは非組合員であり女性や若年層である。しかしながら雇用や社会保障政策で民主党は規従業員、労働者が大半を占める「連合」の既得権益を守る立場だ。先細る「連合」の走狗となるか、新たな労働者層の支持拡大を目指すのかも民主党の今後を占う上で注目しておきたいところである。

2013年7月20日土曜日

アベノミクスの経済政策を追認する国民有権者が参院選後に強いられる終わりなき忍従の日々

 参院選は21日が投票日である。予想される各党の獲得議席数についてはもはや多くを語る必要はなかろう。安倍自民党が単独過半数となる72議席以上を得ることになれば、新聞各紙に“歴史的大勝利”の見出しが踊ることになる。ただ、朝日新聞社が13、14両日に行った世論調査では自民党の単独過半数について否定派が47パーセントを占め、肯定派の37パーセントを上回っている。自民党支持層でも肯定派は53パーセントに止まっており、連立相手の公明党支持層では54パーセント、無党派層の50パーセントが否定派だった。
 国民世論の多くが、ねじれ解消で政治の安定を求めつつも、勝ちすぎた安倍自民党の暴走への懸念が伝わってくる数字だ。それが投票結果にどうつながるか注目しておきたい。
 とはいえ、自民党の独走を許してしまった野党を積極的に支持する理由が見当たらないのは困ったものだ。
 たとえば本来、安倍自民党の対抗軸となるはずの民主党は「暮らしを守る力になる」と言い、アベノミクスの成長戦略を批判しながら、一方で国民生活を直撃することになる消費税率の引き上げに賛成している。
 また、民主党に代わり反安倍自民の受け皿として期待された第3極の維新やみんなも憲法観や規制緩和、行政改革などでは安倍自民党と重なる部分が多く、一方で脱原発のエネルギー政策では民主党にも近い。そのいかにも第3極の中途半端な打ち出しが、今回は裏目に出てしまったようだ。
 そうであれば、憲法改正、消費税増税、原発再稼働、TPPなど安倍自民党のやることなすこと何でも反対の共産党との二者択一が有権者には分かりやすい。それなりの躍進が伝えられるわけだ。
 もっとも、野党がどうであれ政治の大きな流れは変わらない。国民有権者には今後、安倍自民党が繰り出す政策の一つ一つに眼を光らせつつ、忍耐強く見守っていくことの覚悟が問われる参院選である。

2013年7月18日木曜日

消費税率引き上げのアリバイづくりに荷担する日銀が失った国民の信用

安倍晋三首相の経済ブレーンで内閣官房参与の浜田宏一氏は13日の講演で消費税率の引き上げについて「増税は経済に対し大きなショックを与える」と前置きした上、4~6月期の実質経済成長率が1~3月期の4・1パーセント程度であれば「怖いが(増税の)橋を渡ることはあり得る」との考えを示した。
浜田氏は11日の講演でも「本当に景気がよくなったら上げることができるが、現実的に見て心配だという時には延期する考え方もある。(景気回復が軌道に乗る前の消費税増税は)税収は上がってこない。財政再建に役に立たない」と引き上げに慎重な姿勢を示しているが、引き上げの判断基準については、「有効求人倍率で1倍を超える勢いが見え、(完全)失業率も3パーセント台に下がるところ」としている。
参院選の最中、これまで漠としていた消費税率引き上げの判断基準を政府関係者が具体的な数字で示したことをまずは高く評価したい。
もっとも日本銀行は11日の金融政策決定会合で景気の基調判断を7カ月連続で上方修正し、「穏やかに回復しつつある」との表現でこれまで以上に景気が上り調子にあることを強調している。
日銀の景気判断にはアベノミクスの成功を裏保証すると同時に消費税率の引き上げが既定路線であることを印象付ける狙いがあったのだろう。
これでは先に結論ありきの原発再稼働に安全のお墨付きを与える原子力規制委員会と何ら変わらない。日銀の中立性が疑われよう。
ちなみに浜田氏が消費税率引き上げの判断基準に上げている失業率は5月4・1パーセントで3月以降横ばい状態、有効求人倍数は昨年12月の0・82倍から5月0・9倍へわずかに改善されたものの1倍超えのハードルは高い。
また、時事通信が行った直近の世論調査では63・1パーセントが「家計の負担増」などを理由に消費税率の引き上げに反対している。
安倍自民党にはこうした国民の不安を払拭する責任がある。少なくとも浜田氏が示した引き上げの判断基準については安倍首相自らの考えを明らかにした上で有権者の判断を仰ぐべきではないのか。

2013年7月13日土曜日

麻生財務相が語る消費税率引き上げ基準のご都合主義とアベノミクスへの不安

 麻生太郎副総理兼財務・金融相は9日の記者会見で来年4月に消費税率を8パーセントに引き上げるかどうかの判断基準について「税収が伸びてくるというのが間違いなく大きな指標になる」との考えを示した。
その上で麻生氏は「基本的に景気が良くないと税収は増えてこない」として、現時点では「間違いなく景気が良くなってきたなという判断は東京ではあるが、大丈夫かねと思っている人も多い。まだ、決定的に決めるまでには至っていない」と述べている。
しかしながら、そんな悠長なことを言っていて良いのだろうか。まずもって消費税率の引き上げは、21日投開票の参院選で有権者の判断材料となる。
ちなみに景気への影響を懸念する「みんな」は凍結を、「共産」、「生活」、「社民」など野党の多くが格差拡大や低所得者層の生活を圧迫するとして中止を求めている。政権与党があいまいな態度を続けるならば、争点隠しとの批判を浴びかねない。
折しも麻生氏が大きな指標と位置づける税収について財務省が3日に発表した2012年度一般会計決算概要では補正後の見積を1兆3244億円も上回っている。さらに経済成長を最優先に掲げる安倍自民党なら来年度もきっと大幅な税収増を見込んでいるはず。
だったら、来年4月の引き上げを躊躇する理由はなかろう。
それにもう一つ、麻生氏の判断を待つまでもなく財務省は8月、消費税率引き上げを前提に来年度予算の概算要求基準をまとめ、年末の閣議決定に向けて予算編成作業に入るわけだから今さら隠し立てすることはなかろう。
もっとも、景気が回復し税収増が見込まれるのになぜ、消費税率を上げる必要があるのか。あるいは、景気が回復しても個人所得が増えければ、国民生活を圧迫することになりかねない。
全国消費者物価指数は今年2月以降、4か月連続で上昇している。公正取引委員会の調査では消費税率引き上げを見据え、大手スーパーの納入業者に対する買いたたきも始まっているそうだ。
消費税率引き上げの是非はアベノミクスの成否と表裏の関係にあるだけに、与野党のいっそうの論戦を期待したい。

民主党惨敗確実の参院選で問われる労働者の敵「連合」の存在価値

安倍晋三首相は8日の遊説で「安定多数によって誇りある日本をつくっていく」と述べ、自民、公明両党で参院のすべての常任委員長ポストを独占し、なおかつ、各委員会の過半数を占める70議席以上の議席獲得に意欲を見せた。
さらに序盤戦、マスコミ各社の情勢調査で自民党は72議席以上を獲得し、24年ぶりに単独過半数を回復する可能性さえ指摘する。
いずれにせよ参院選後は衆参のねじれは解消され、安倍首相はこれまで以上に強大な権力を手にするわけだが、一方で民主党の惨状は目を被いたくなるばかりだ。
民主党は最大支援組織の「連合」の基礎票にして、無党派層や小泉郵政選挙で離反した旧自民支持層の票を取り込み、党勢を拡大してきた。
ところが今や民主党政権に失望した無党派層や旧自民党支持層に背を向けられ、頼れるのは「連合」の組織票のみ。労組依存体質は強まるばかりだ。
ただ今回「連合」は一枚岩で民主党を支援しているわけではない。たとえば、民主党の参院選マニフェストは「2030年代原発稼働ゼロ」を掲げているが、連合傘下の電力関連産業でつくる「電力総連」は原発を「重要な電源」と位置づけているから、むしろ自民党を支援したいくらいだろう。
また、労働者にとって最大の関心事となる賃上げはどうか。今回の参院選で民主党は最低賃金の引き上げや生活困窮者支援制度の確立など8項目の政策協定を結んでいる。
ただ、連合のシンクタンクが民間企業の労働者を対象に4月に実施した「勤労者の仕事と暮らしに関するアンケート調査」で、安倍首相が経済成長戦略の集中期間としている3年後の景気について35・8パーセントが「良くなる」と答える一方、賃金が「良くなる」と答えた人は19・4パーセントに止まっている。
この数字を裏返せば労働者は労働組合の賃上げ交渉力に疑問符を突きつけているとも言えないか。
 ちなみに前回参院選で連合の組織内候補は10人が当選、159万票を集めた。今回、得票数でこれを大きく下回るようなことになれば、連合の存在意義、ひいては労働運動のあり方そのものが問われることになろう。


2013年7月6日土曜日

安倍自民党が圧勝しても解消されない消費税引き上げ時期をめぐるもう一つのねじれ

「勝って再びねじれを解消し、政治の安定を手に入れ、(景気回復の)実感を皆様の手に届けたい」
 3日に行われた日本記者クラブ主催の党首討論で安倍晋三首相はこう述べた。ねじれ解消で今後の政権運営に有権者の白紙委任を得たいとの考えだ。
だが、いくら株高で企業業績が回復基調にあるからとはいえ、盲判を捺すわけにはいかない。
例えば争点の一つとなる来年4月の消費税率の引き上げはどうか。党首討論で安倍首相は「上げて税収が減ったら元も子もなくなる。足下の状況を見ながら適切に判断したい」と柔軟姿勢を示している。
もとより経済は生き物だ。過去には97年の橋本政権下、消費税率を現行の5%に引き上げたことが景気のさらなる悪化を招き、税収減をもたらした苦い経験がある。
このため昨年成立した改正消費税法の付則は「経済状況の好転」を税率引き上げの条件にしている。そうであれば、来年4月の8%引き上げを見送り、15年10月に一発で10%に引き上げる選択肢もあろう。
ただ、景気回復の「実感を届けたい」と熱弁する安倍首相である。一方で「税収が減る」ような事態とは、安倍首相がこれまで進めてきた経済成長戦略の行き詰まりを意味することにもなる。即ち、安倍首相の政治責任が問われる事態でもあるのだが、どうやら本人にその自覚はないらしい。
一方、自民、公明両党と共に消費税率の引き上げを決めた民主党は海江田万里代表が党首討論で「首相の経済政策は、国民の期待感を膨らませることには成功したが、副作用がある。生活を破壊する恐れのある安倍政権の政策から国民の暮らしを守っていく」と述べている。
安倍政権の経済成長戦略の行き詰まりを指摘するのであれば、消費税率引き上げの先送りを主張しても良さそうなものだが、言及はなかった。それでどうやって「国民の暮らし」を守るのか。民主党が非自民、反アベノミクスの受け皿になれないのも肯けよう。

2013年7月4日木曜日

自民、公明両党の過半数阻止を掲げる民主党は野党共闘の青写真を有権者に示せ

参院選が4日に公示された。
「自公の過半数阻止、かつ自民党と日本維新の会という改憲勢力に(憲法改正の発議が可能になる)3分の2を占めさせないことだ」
民主党の海江田万里代表は29日、大手紙とのインタビューでこう述べ、目標とする獲得議席数については言及を避けた。
それで言えば民意は逆に告示直前、大手各紙の世論調査によると自民、公明両党が過半数を得て衆参のねじれ解消を望む声が読売新聞で52%、毎日新聞では57%にも上っている。
また、過半数を阻止するには59議席が必要だが、現時点で民主党の候補者は56人しかいない。与党だった前回参院選の半数にも満たない数だ。それでいて過半数阻止を口にするのは野党共闘をあてにしてのことだろう。
そうであれば、日本維新の会や共産党と連携することも有り得るのか。選挙後の野党共闘の青写真を示さなければ、ねじれ解消を望む国民有権者を翻意させることはできまい。 
幸いにして安倍内閣の支持率は下がり基調にある。朝日新聞で前回調査から4ポイント減の55%、毎日新聞でも6ポイント減の60%だった。
さらに安倍自民党が予定している来年4月からの消費税引き上げに51%が反対、原発再稼働には53%、憲法96条の先行改正には47パーセントが反対している。
野党第一党として民主党の責任はTPPへの参加の是非も含め、こうした世論の声を野党共闘につなげ、あるいは自民党支持層に楔を打ち込むことだ。
付け加えるならば、今回の参院選は公明党を支える創価学会有権者の投票動向にも注目しておきたい。
公明党は先の都議選で前回より10万票減らし、鉄板と言われる支援組織の創価学会の集票力にも陰りが見られるからだ。安倍自民党のタカ派路線に引きずられていては、さらなる離叛を招こう。
「国際関係でも平和、対話を重視する公明党の姿勢は重要だ。連立政権の中で持ち味をしっかり訴えたい」
 とは山口那津男代表の弁だ。参院選後は良識ある創価学会員の期待を裏切らないよう、本来あるいべき公明党の姿を取り戻してもらいたい。投開票は21日。

2013年7月1日月曜日

参院選で安倍自民党の圧勝を許せば”豚に真珠”のねじれ国会解消とならないか

 国会は26日、参院本会議で野党が提出した安倍晋三首相の問責決議案を可決して幕を閉じた。問責の理由は参院予算員会の集中審議に安倍首相以下、政府側が欠席したからだとか。参院選を前に安倍自民党との対決姿勢をアピールしてのものだが、いつもながらに国民不在の茶番劇でしかない。
与野党どちらに非があるかはともかく、これまで国会審議を積み重ね、成立が見込まれていた電力システム改革を進める電気事業法改正案や生活保護の不正受給対策を強化する生活保護法案改正案などの重要法案が問責決議が提出されたことで廃案になってしまったのは国政とって大きなマイナスである。
第一次安倍内閣から鳩山内閣の一時期を除き今日まで続く衆参ねじれ国会が「決められない政治」の元凶であることは、本欄で繰り返し指摘してきたところだ。
もっともそれも、7月の参院選までか。
「政治の安定を取り戻さなくては日本の国力が回復しない。景気回復、復興を加速させるためにも、負けるわけにはいかない。必ず(衆参の)ねじれを解消しなければならない」 
安倍首相は国会閉幕を受けて行われた記者会見でこう述べ、参院選の勝敗ラインについて自民、公明両党で過半数獲得を目指す考えを改めて示した。
マスコミ各社の世論調査を見れば、国民の過半がねじれ国会の解消を望んでいる。また、きっとそうなるであろうことを否定する材料は今のところ見当たらないが、一方で不安もよぎる。
 安倍自民党の暴走を許すようなことになればそれこそ「豚に真珠」を与えてしまうことになりやしまいか。
とりわけ秋の臨時国会をまたぎ政治決断が迫られる原発の再稼働と消費税率の引き上げについては、野党の声にも謙虚に耳を傾け、慎重な判断を求めたい。
 あるいは憲法改正についてはどうか。同じ記者会見で安倍首相は「96条から始めたいと言うことで、初めてリアリティーを持った議論になった。第一段階の目的は達成できた」として、世論の動向を見極めつつ慎重に議論していく姿勢を見せているが、これもいつ豹変するかもしれない。政治の安定を求め、それでいて悩ましくもあるねじれ国会の解消になりそうだ。