2014年2月27日木曜日

河野慰安婦謝罪談話に歴史ねつ造疑惑浮上の損得勘定

従軍慰安婦の旧日本軍の関与を認めた河野談話の信憑性が揺らいでいる。村山内閣の官房副長官を務め、談話を取りまとめた石原信雄氏が20日の衆院予算委員会に参考人として呼ばれ、関与の根拠となった韓国人元慰安婦への聞き取り調査について政府として「裏付け調査をしていない」ことを認めたからだ。この中で石原氏は「日本軍や官憲が強制的に女性を募集したという客観的資料がない」とも述べている。
それでいてなぜに謝罪したのかといえば、「当時の日本政府の善意が生かされていないのは、非常に残念だ」と述べ、外交的配慮であったことを匂わせている。
これを受けて菅偉義官房長官は同委員会の答弁で「(元慰安婦について)筆舌に尽くし難い辛い思いをされた方のことを思い非常に心が痛む思いだ」と述べ、従来からの政府方針を蹈襲するとの姿勢をみせながらも、聞き取り調査の再検証に言及せざるを得なかった。
 野党の一部もこれに同調、松原仁国会対策委員長は22日のテレビ番組で石原発言を「極めて重い」として、聞き取り調査だけでなく、時の政権の姿勢にまで踏み込んで徹底検証する姿勢を見せている。
 もとより、河野談話が歴史的事実を歪曲したとすれば権力の濫用であり、決して許すことはできない。だが、沖縄返還の密約を持ち出すまでもなく、こうした外交的配慮が秘密保護法の対象となれば、今後、安倍政権が外交的配慮から歴史的事実を歪曲したとしても歴史の闇に葬られてしまうことにもなりかねない。
 あるいは先のことはともかく、20年前の河野談話を今になって穿り返して政治的にいったいどんなメリットがあるというのだろう。
植民地時代の韓国に対する戦後賠償はすでに決着済みだ。その上、慰安婦についても善意で謝罪し、基金まで作った。それを韓国政府が外交の道具として使っているのは、不愉快極まりない。だったら謝罪を撤回しますよ、というのが再検証の意味するところか。
しかしながら、官房長官談話を発表した河野洋平氏は当時、自民党の総裁であり元衆院議長でもある。安倍晋三首相は一介の若手議員にすぎなかったが、親分の森善朗元首相は幹事長だった。つまりは河野談話の否定がそのまま自民党政権の積み重ねてきた外交努力をも否定することになるから菅氏も心が痛もう。片や松原氏はここぞとばかりに自民党の弱点を突いてみせたのだが、来年度予算案の審議の中では建設的な議論とは言い難い。ましてや日韓互いにヤブを突いて、ヘビならぬ中国に足下をすくわれないよう今は自制が必要な時だ。

2014年2月22日土曜日

朝日新聞が起死回生で放ったNHKスキャンダル

自民党は18日の総務会に従軍慰安婦などで問題発言したNHKの籾井勝人会長を呼び、大島理森前副総裁が「内外に不信感が出てきている。信頼を取り戻すのが会長の務めだ」と自省を促した。籾井発言後にケネディ駐日米大使が急遽インタビューを断ってきたことや受信料の不払いなどが拡大していることを懸念してのことだ。
籾井氏は「心から反省し、立場をわけまえて今後は慎重に発言する。不信を払拭するため全身全霊で取り組む」と陳謝し、その場でNHKの来年度予算案は了承された。
しかしながら、これで一件落着にしたくないのが朝日新聞である。同日の朝日新聞デジタル版は、今月12日に行われたNHKの経営委員会で籾井氏が「取り消しているし、どこが悪いのか。率直に読めば理解できるはずだ」との発言をしたと報じて、この問題を蒸し返している。
記憶をたどれば同紙は04年、NHKが従軍慰安婦などをめぐる日本軍の戦時犯罪を扱った番組を01年に放送した際、官房副長官だった安倍晋三首相や故・中川昭一経産相からの圧力があったとして、両氏と番組改編を受け入れたNHKの報道姿勢を厳しく批判している。
しかしながらこの番組は当初、昭和天皇の戦争犯罪を糾弾する内容であり、いわばポツダム宣言に基づく戦後処理を否定するものだった。
そんな偏向した番組を放送する方が間違いであって、政治の圧力がなくとも公正中立を旨とするNHKが自主的に改めるのに何ら落ち度はなかろう。
むろん、NHKは政治介入を全面否定、朝日新聞は誤報を認めないまま記事を担当した極左系の記者はいつの間にか左遷され、今日に至っている。
江戸の敵は長崎で、というわけではないとは思うがこの時、赤っ恥をかかされた朝日新聞にとって籾井発言は、降って沸いた汚名払拭のチャンスではあろう。
経営委員会では籾井氏への批判もあったそうだが、辞任を迫る声はなかったようだ。それでも納得できないのであれば、経営委員が抗議の辞表を叩きつける手はあろうが、今のところその動きもない。 
珊瑚礁のヤラセ写真を持ち出すまでもなく、自らの主張を正当化したいがための記事ねつ造は過去、朝日新聞が得意としてきたところだが、今回は墓穴を掘らないようくれぐれも慎重に。


2014年2月21日金曜日

暗雲立ち込めても下がらない安倍内閣支持率のなぜ

安倍内閣の支持率は依然、堅調である。読売新聞の週末調査は支持率が60%で毎日新聞は52%だった。不支持ともに前回調査とほとんど変わっていない。
 ただし、経済対策については先行きに不安感が漂う世論調査の結果である。たとえば、時事通信の世論調査では安倍内閣が実現を目指す企業収益の拡大による賃上げについて否定的な意見が57・4%に上っている。15年10月に予定されている消費税率の10%への引き上げについては「時期を当面先送りすべきだ」と「10%にする必要はない」を併せると実に72・6%に上っている。
 読売新聞でも安倍内閣の経済政策を「評価する」したのは前回調査から6ポイントマイナスの54%に止まり、景気回復を実感していない人も4%増えて77%に達している。
 だからだろう今年4月、消費税率8%に引き上げ後の家計についての毎日新聞の問いかけには65%が支出を「抑える」との考えを示している。
 それでも内閣支持率が下がらないのは、とりあえず様子見といったところか。4月以降の景気動向によっては、安倍内閣への風当たりは、春の嵐のごとく吹き荒れるに違いない。
 そのカギを握るのが、春闘相場であることは前に触れた。いくら公共事業を増やし、経済規模が拡大したとしても物価が上がり、これに賃金が追いつかなければ国民の暮らしは良くならない。
 それにもう一つ、安倍内閣に重くのし掛かるのが原発の再稼働問題である。
「アベノミクスで強い経済が戻ってきた。質の高い電力を安く安定的に供給できる環境を作らなければ、暮らしや雇用も守れない」
 自民党の高市早苗政調会長は16日のテレビ番組でこう述べ、原発再稼働を盛り込んだ国のエネルギー基本政策を3月年度内に取りまとめる考えを示している。
 だが、先に再稼働ありきの話しではたして反原発派の国民世論を説得することができるだろうか。電力料金をつり上げているのはアベノミクスによる円安がもたらしたもので、安倍内閣の失政の結果である。また、値上げした電気料金が実のところ東電救済に使われていることの是非についても議論の余地があろう。安倍首相がどんな言い訳をひねり出すか見物である。
 

2014年2月15日土曜日

JR北海道の度重なる不祥事は国鉄民営化の負の遺産

 昨年9月19日、JR北海道の函館線大沼駅構内で貨物列車脱線事故が起きて5ヵ月、その後次々と発覚する同社のずさんな安全管理体制に対して12日、北海道警がついに捜査のメスを入れた。
 直接の容疑は脱線事故直後に大沼保線管理室の社員2人(すでに懲戒解雇)と上部組織の函館保線所の社員(出勤停止30日)が責任逃れのためにレール幅の広がりを39ミリから25ミリにするなど複数のデータを改ざん。さらに国交省の特別保安監査が入る前日、函館保線管理室の助役(論旨解雇)ら計11人による動揺のデータ改ざんが発覚したことで、これ重くみた国交省と運輸安全委員会が10日、鉄道事業法(検査妨害など)と運輸安全員会設置法違反で刑事告発していたものだ。
 北海道警は本社や函館支社、函館保線所、函館保線管理室など五カ所を家宅捜索し、事件の全容解明を急ぐ。
「輸送の安全を第一とすべき鉄道行政として、国交省が厳正に対処した結果だ。1日も早く利用者の信頼を回復するためにJR北海道は全力を挙げて課題克服に取り組んでほしい」
 家宅捜索を受けて菅義偉官房長官は10日の記者会見でこう述べている。
確かに、悪質極まりない組織ぐるみの隠蔽工作ではあるが、これで事足りる話しでもないような気がする。
まるで被害者のように振る舞う国交省にこれまでJR北海道のずさんな安全管理体制を放置してきた責任はないのだろうか。あるいは事件の起きた背景を国鉄民営化にまで逆上れば、違った見方ができよう。
古い話になるが、たとえば民営化初年度の昭和62年、JR北海道の営業収益は919億円で経常利益はマイナス22億円だった。これに対してドル箱の東海道新幹線を握るJR東海は営業収益が8746億円で、経常利益は607億円だった。これに対してJR北海道が抱える路線の営業キロ数は3176キロで、社員数は1万2719人。JR東海は2003キロで社員数は2万1410人だった。しかも高速道路網の整備が進む中では収益増は見込むべくもない。JR北海道の経営最大の課題が今日に至るまで赤字路線の廃止と人員整理だったこと、つまりは民営化時に貨物を加えた民営7社に分割してJR北海道を孤立、無援に追いやってしまったことが、安全管理体制の不備を招いたことの背景にあるのだ。菅氏は当時、大物運輸族議員の故・小此木彦三郎運輸相の秘書だったから、ご承知のことだろう。
国鉄民営化から四半世紀以上が過ぎ、そろそろ民営会社の再編を考える時期だ。JR東海を名古屋で真っ二つにした東西2社体制が経営的にも乗客の利便性や安全性からしてもよりベターな選択肢だと考えるが、どうだろうか。

2014年2月14日金曜日

次期内閣危機管理監に内定した西村泰彦前警視総監は機密漏洩の常習者だった

 安倍内閣は退任が決まっている米村敏朗内閣危機管理監の後釜に西村泰彦前警視総監(58)を充てるそうだ。3月1日、正式就任となる。米村氏は退任後、発足したばかりの東京五輪組織委員会に入り、治安や交通対策などを陣頭指揮する見込みだ。
 周知の通り、内閣危機管理監はこれも発足したばかりの日本版NSCの事務局長と並ぶ日本の安全保障体制の要となるポジションだ。歴代4人の警視総監経験者が就任しており、西村氏についても警察時代、主に警備畑を歩き、沖縄サミットやAPECなどの大規模な国際会議を成功させた実績があり、順当な人事だろう。
 ただ、95年の警察庁の国松長官銃撃事件が起きた際には警視庁警備一課長として責任が問われたてもいる。記憶を辿れば、当時、公安モノを得意とする某実録小説の書き手を中心に集まったマスコミ関係者の宴席で国松長官狙撃犯とオウムとの関係を吹聴していたのを思い出す。
 周知のとおり、安倍内閣は日本の安全保障体制を強化するため日本版NSCを創設し、併せて特定秘密保護法を成立させた。賛否はともかく、もし当時に逆上ってこの法律が適用されたならマスコミに公安、捜査情報を漏らしていた西村氏はあるいは摘発の対象になっていたかもしれない。
 それはともかくこのところの安倍官邸の人事には綻びが目立つ。たとえば、安倍内閣が
集団的自衛権の行使に道を拓くために内閣法制局に送り込んだ小松一郎長官(62)は、「検査入院」を理由に国会開会から一度も答弁に立っていない。病名は不明だが、昨年11月の臨時国会では「政府の憲法解釈の変更は可能」との見解を示したものの、如何せん外務省出身で憲法論には素人。歴代内閣法制局猟官や最高裁判事経験者、憲法学者などから猛反発をくらいノイローゼ気味だとの噂も囁かれている。
 あるいはもっとお粗末なのがNHKの会長人事だ。連日、国会やマスコミが取り上げていたから説明はいらないだろう。籾井勝人会長は従軍慰安婦問題などの一連の発言を謝罪、取り消し、原発番組への介入でも批判に晒されている。
 三井物産副社長から日本ユニシス社長に転じた華麗なるキャリアだが、公共放送のトップに据えたのは間違いだった。聞けば、生まれも育ちも著者と同じ北九州・筑豊地方の炭鉱経営者の倅だそうだ。隣町には麻生太郎財務相もいるからお下品なしゃべりは土地柄のせいもあろう。ご容赦願いたい。余談だが、東京都知事選でお騒がせした舛添要一氏や家入一真氏も同郷だが、これも故郷自慢にはなるまい。

2014年2月11日火曜日

労働統計にみる賃金給料の目減りで広がるアベノミクスへの不信と不安

しらけムードの東京都知事選だった。最終盤、脱原発派の細川護煕氏と宇都宮健司氏の熾烈な2位争いが選挙戦の最大の関心事になっていたことからもそのことは伺えよう。
この間、しばらく遠退いていた国会は、これもあっという間に13年度補正予算が成立、週明け10日、衆院予算員会で来年度予算案の実質審議が始まる。
 ちなみに補正予算の歳出総額5兆4654億円には、4月からの消費税引き上げで懸念される景気の落ち込みを食い止めるため公共事業がずらりと並ぶ。
「消費税引き上げに際し、景気を下ブレさせることなく、経済を成長軌道に早期に乗せることが重要だ。迅速、着実に実行に移して欲しい」
 安倍晋三首相は7日の閣議でこう言い残し、ソチ冬季五輪の開会式出席のため羽田を発った。
 今国会を安倍首相が「好循環実現国会」と名付けたのは周知のとおりだ。4月の消費税引き上げは、そのために乗り越えなくてはならない最大のハードルである。
 もっとも、たとえ補正予算で景気の下ブレを一時的に食い止めることができたとして、労働者の賃金、給与が上向かなければ、アベノミクスへの国民の期待は失望に変わり、政権基盤を大きく揺るがすことになる。
 折しも厚生労働省が5日に発表した毎月勤労統計調査(速報値、従業員5人以上の事業者を対象)によると、基本給に残業代、賞与を加えた現金給与総額は一人当たり月平均31万4150円で2年連続続いていた下落にストップがかかっている。とはいえ、これに物価の変動を加味した実質賃金指数を見れば、前年比0・5%減で、2年連続で下落している。特に昨年7月以降、マイナス幅は拡大している。
 つまり、アベノミクスが意図的につり上げてしまった物価に賃金給与の伸びが追いついていないのだ。このままでは経済規模が拡大したとしても、生活者には景気回復の実感が伴わない。
 安倍首相は経済界に対して繰り返し賃上げ要請を行っている。首尾よく、賃金給料が上がればアベノミクスの手柄と言えるが万一、不調に終わった場合にはその責任を経済界に押し付けるための口先介入でもある。
結果が出るのは5月下旬、政府は主要企業数百社の賃上げ実施状況を公表する予定だ。

2014年2月9日日曜日

惨敗細川選対のA級戦犯と選挙違反摘発の戦々兢々

 東京都知事選の投票日が迫る中、舛添要一氏の独走を許してしまった細川陣営では早くも敗戦の責任を問う声があがっている。
 前にも指摘したが、脱原発の争点化に失敗したことが敗因であることは疑いない。告示前も選挙期間中も、各種の世論調査で都民の関心事は原発よりも景気や福祉の方が上位にあった。だからこそ、選挙戦を通じて脱原発に世論の関心を最大限に惹き付ける必要があったのだが、旧側近グループは逆に世論の関心事に歩調を合わせて、脱原発と横並びで深く掘り下げてもいない景気対策や福祉政策を打ち出してしまった。これでは宇都宮健司氏と違いがはっきりしないから有権者は細川護煕氏を積極的に支持する理由を失ってしまったのである。
その責任の多くはクーデターにより選対を乗っ取った円より子事務所の金成洋治秘書と細川事務所の白州智誉氏にあることを重ねて指摘しておきたい。加えてこの2人を後押しした細川夫人と娘、朝日新聞のY役員や都庁担当記者も同罪だ。むろん、最終的には細川氏本人の政治家としての資質に行き着く。選対すらまとめきれずに東京都知事は務まるまい。選挙戦を通じてきっと有権者はそのことに気づいたはずだ。
小泉純一郎元首相の全面支援を受け、脱原発を叫んで立ち上がった細川氏に期待した多くの国民に失望と落胆をもたらしたことは、脱原発運動の今後に大きく禍根を残すことにもなろう。
それにもかかわらず、選対では金成氏と白州氏が細川夫人を挟んで責任を擦り合い、あらたな内ゲバを始めているというのだから呆れるばかりだ。
聞けば、クーデターで馬渡龍治や木内孝胤氏らを追い出した直後から、細川陣営周辺が街頭で法定外の大量のビラを配布、これが公職選挙法に違反するとして警視庁が内定中とのこと。細川、小泉両元首相のSPや遊説の交通整理にあたった所轄の警察官がこれを目撃しているから言い逃れはできない。場合によっては選対責任者に司直の手が伸びる可能性も出てくることにもなる。さらに民主党から細川選対に流れたはずの5千万円が紛失した「新・消えた5千万円疑惑」も囁かれ、選対の主導権を握った2人が、今度は選対責任者の立場を押し付け合っているのだ。まさに戦々兢々、選挙どころではない細川選対なのである。

2014年2月6日木曜日

負けて当然、細川護煕元首相の街頭演説

 東京都知事選のラストサンデーとなる2日、優勢が伝えられる舛添要一氏とこれを追う細川護煕氏が銀座4丁目交差点の街頭に立ち、それぞれ支持を訴えた。
 午後2時半、先に街頭に立った舛添氏には安倍晋三首相と公明党の山口那津男代表が並び立ち、国政選挙並みの陣立てだったが聴衆はざっと見渡して1千人足らず。それが午後3時半過ぎ、細川氏と小泉純一郎元首相が姿を現す頃には聴衆の数は3倍近くにまで膨れあがっていた。論より証拠、動員力では細川、小泉元首相連合の圧勝だったのだが、週明けマスコミ各社の世論調査で舛添氏との差は縮まるどころか、逆に拡大の傾向を見せている。
 細川陣営は巻き返しに必死だが、この日の遊説を見る限り、逆転は望むべくもない。まずもって、細川氏の演説は内容が散漫で力強さに欠け、有権者の心に響いていないのが分かる。演説の間に立ち去る聴衆は後を絶たず、小泉首相の演説が始まる頃には聴衆は半減していた。ところが小泉氏が演説を始めると聴衆は再び足を止めて聞き入る。細川氏は無いに等しい存在だった。象徴的なのは2人が着込んだダウンジャケットの色だ。小泉氏が色鮮やかなライトグリーンで細川氏はブラック。細川夫人の趣味らしいが、ちゃんとしたスタイリストを付けていれば、ストップ・ザ・原発の「レッド」か、せめて小泉氏とお揃いにして一体感を演出していただろう。
やはり本欄が度々指摘してきたように、告示直前の選対の混乱が尾を引いているようだ。この日も小泉氏がかねてより意欲を見せていた東電本社前の街頭演説の是非をめぐり、選対内で賛否入り乱れて準備が間に合わずに見送っている。聞けば、細川氏が選対に呼び込んだ民主党議員や労働組合関係者が猛反対したそうだ。東電前での街頭演説は、原発政策への薄れかけた都民の関心を呼び戻し、原発再稼働反対を訴える細川氏が選挙戦の主導権を取り戻す最後のチャンスだったが、残念である。
こうまで不様な姿を見せつけられると、脱原発派の細川離れを加速させることにもなりかねない。後悔先に立たずの細川選対である。
 

2014年2月3日月曜日

東京都知事選終盤、細川・宇都宮両氏に勝機はあるか

東京都知事選は原発再稼働を容認する自民、公明両党と東京連合の支援を受ける舛添要一氏の独走を許したまま、9日の投開票まで残すところ一週間。脱原発派の細川護煕氏の一発逆転はあるのか。せめて細川氏と宇都宮健司氏2人併せて、舛添氏を上回る票を得ることができれば、脱原発派にとっては都知事選を制したに等しい。
カギとなるのは有権者の5割以上を占める無党派層と党派を超えた女性票の行方である。選挙期間中、毎日新聞社が東京都民有権者約7万3千人の協力を得て実施しているWEB調査では30日現在、原発政策について将来は廃止する、再稼働させずに廃止するが併せて64%に上っている。再稼働については反対派が48%でこれも容認派の44%を上回っている。女性に限れば実に62%が再稼働に反対だ。こうした都民の声が投票行動に表れれば、脱原発派に勝機はある。
折しも国会では安倍晋三首相が原発政策について「海外からの化石燃料への依存度が高くなっている現実を考えると、そう簡単に原発やめる、と言うわけにはいかない」と述べて、再稼働に反対する女性の声に耳を塞いでしまった。
また、自民党が全所属議員を対象に実施したアンケート調査では将来的に全ての原発を停止させるべきだと考える議員は10%に止まり「原発即ゼロ」を主張する議員はいなかった。
安倍自民党には電力会社から多額の政治献金が流れているから当然の結果であろう。
朝日新聞の31日付け朝刊によれば、電力会社などでつくる電気事業連合会(会長・八木誠関西電力社長)は自民党議員に対して政府が策定するエネルギー基本計画で「原子力が重要な電源であるとの位置づけ」や「原子力発電を一定程度の規模確保するために新増設・建て替えの必要性」を明確にするよう圧力をかけているそうだ。つまり、政官業癒着の構図そのままの原発再稼働なのである。
安倍首相は2日、舛添氏と共に銀座で街頭演説を行った。舛添知事誕生をバネに再稼働に踏み切るつもりだろう。細川、宇都宮両陣営には最後の踏ん張りを期待したい。
 

2014年2月1日土曜日

劣勢細川氏の旧側近グループが選挙戦に投入した”加世子夫人”と”くまモン隊”の破壊力

 劣勢が伝えられる細川陣営がついに細川夫人の加世子さん(71)を選挙戦に投入した。「夫は政治家としての魂が燃えたぎっています。精一杯お手伝いして、全身全霊、残された夫とともに戦っていきたい」
27日、公示後初めて街頭に立った加代子さん(71)はこう訴え、夫への支持を呼びかけた。今後は細川氏とツーショットで選挙運動の先頭に立つそうだから、羨ましくもある夫婦愛だ。
もっとも、細川夫人が参戦したくらいでは、はるか先頭を走る舛添要一氏に追いつくほどの力にはなるまい。
それどころか、安倍晋三首相が一昨年秋、自民党総裁に就任後、民間調査会社に委託して本格的に導入したインターネットによる極秘のWEBモニター調査では、細川陣営のゴタゴタに嫌気がさした「脱原発」票が宇都宮健児氏に向かっている傾向がはっきり見て取れるのだ。
ちなみに、この調査はマスコミ各社の世論調査より格段に精度が高い。年齢、男女別、職業、地域、思想信条などサンプルが偏らないよう委託業者が予めモニターを募り、1000人単位で定点観測や準定点観測、テーマ毎のトピック調査を逐次行っている。付け加えるならば、安倍自民党はこの調査会社を使い連日、テレビキャスターやコメンテーターの発言、あるいは新聞、雑誌記事などに対する国民世論の反応を集め、時に言論機関への有形無形の圧力、介入を試みていることを読者諸氏は知っておくといい。テレビ各局のコメンテーターが横並びで脱原発の争点化に懐疑的な見方を示していたことを思い出していただければ合点がいこう。
それはともかく、このままでは細川氏は後ろを走る宇都宮氏に追い抜かれてしまうことになりかねない。最悪、田母神俊雄氏にも遅れをとる可能性も出てきた。
まさに瀬戸際の細川陣営は、一発大逆転の切り札として2011年のゆるキャラグランプリに輝いた熊本県庁のマスコットキャラクター「くまモン隊」の投入を検討中とのこと。小泉会談があった今月14日、港区白金の中華料理店で行われた初の選対会議でも、熊本出身の細川氏のお嬢様が開口一番「くまモンはいつでも呼べます」と語っていたそうだから、冗談話ではないようだ。
「くまモン」が、脱原発派だとは知らなかったが、実現すればきっと小泉氏以上の強力な援軍となるに違いない。頑張れ、クマもん!子供たちの熱狂が目に浮かぶ。