2013年9月30日月曜日

安倍首相の価値観外交と自衛隊の海外派兵で問われる日本の国際貢献のあり方

国連総会出席のためニューヨークに滞在中の安倍晋三首相は25日(日本時間)、フランスのオランド大統領との会談でシリアの化学兵器全廃に向けて「化学兵器禁止機関(OPCW)の(査察や検証の手順に関する)決定を補強する強力な国連安全保障理事会決議が採択されるべきだ」との考えを示した。
国連安保理では、米英仏の3カ国がシリアに対して国連憲章第7章に基づく軍事制裁を含む決議案の採択を目指しているが、安倍首相の発言はこれに同調する姿勢を鮮明にしたもの。もっと言えば、けしかけているようにも見える。
万が一にも軍事介入となれば安倍首相は国連決議を盾に喜々として自衛隊を派遣するはずだ。
そうならなくても、安倍首相が意欲を見せる集団的自衛権の行使をめぐる憲法解釈が変更されれば、国連決議なしでも自衛隊の海外派兵が可能となる。
首相の私的諮問機関「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」(安保法制懇、座長・柳井俊二元駐米大使)が年末までに提言をまとめる予定だ。前後して秋の臨時国会では国家安全保障会議(日本版NSC)、特定秘密保護法案の成立が見込まれている。
言うまでもなく、すべては交戦権を放棄した現行憲法への挑戦であり、自衛隊の国防軍化に道を拓く謀みである。
良く言えば、日本の国際貢献のあり方を問い直す試みでもあろう。議論するのは結構なことだが、国民の理解を得る努力なしに安倍首相一人、先走ってもらっては困るのだ。
「国民が懸念するような方向に(政府が)急進的に、一方的に奨めることがあれば、我々は堂々と言うべきことは言う」
 公明党の山口那津男代表は24日の講演でこう述べ、集団的自衛権の行使に前のめりの首相を牽制した。
ぜひ、そうあって欲しいものだが、同様の声が自民党内から上がってくればなお、国民は安心だろう。
 

2013年9月26日木曜日

消費増税と抱き合わせの5兆円経済対策でも救えない非正規労働者

 安倍晋三首相が来年4月の消費税率8パーセント引き上げを決断した。週明け10月1日にも正式表明する。きっと東京五輪の招致決定が安倍首相の背中を一押ししたに違いない。今後の注目点は政府が消費増税と抱き合わせで打ち出す5兆円規模の経済対策と国民生活への影響である。
 経済政策の目玉は設備投資減税3000億円と復興法人税を1年前倒しで廃止することによる8800億円の税負担軽減など。計約1兆4千億円超の企業減税となる見込みだ。
 企業の設備投資を促す一方、負担軽減で浮いた資金を雇用や給与増につなげて懸念される消費増税後の景気の腰折れを回避したいとしている。
設備投資減税はともかく、国民からすればやはり気になるのは消費税率3パーセント分の負担増と給与・賃金の上昇幅との兼ね合いだろう。
「経済がマイナスからプラスに反転する動きが出ている。これを企業収益、賃金、雇用の拡大に伴う経済の好循環につなげられるかどうか。ここが勝負どころだ」
 安倍晋三首相は20日に行われた経済、労働界の代表と経済政策を協議する「政労使協議」の場でこう述べている。おっしゃるとおり、いくら企業収益が改善しても雇用の拡大や賃金の上昇につながらなくては、国民の暮らしを圧迫し、消費は冷え込む。
 このため政府は現行、賃上げ率「5パーセント以上」の企業を対象にしていた賃金増加分の10パーセント減税措置の基準を「3パーセント以上」に緩和するなど賃上げ環境を整備し、さらに企業に対して減税分の使途の公表を促すそうだ。
 また、低所得者対策として「住民税非課税世帯」の約2400万人を対象に一人一万円を支給。このうち年金受給者や低所得者のひとり親に支給される「児童扶養手当」を受け取っている人には5千円の上乗せを検討、総額で3000億円程度の支出増となる大盤振る舞いだ。注文を付けるなら、非正規労働者の待遇改善で具体策が欲しいところか。
何やら社会主義国家の統制経済と見紛うばかりの安倍政権だが、裏を返せば、それほどまでに日本経済が病んでいるとも言えようか。

2013年9月23日月曜日

安倍首相は消費増税、汚染水問題で野党が求める早期の臨時国会召集に応じよ

自民党は17日の総務会で今月末に任期切れとなる石破茂幹事長ら党幹部9人の再任を決めた。併せて安倍晋三首相は内閣改造を時期通常国会後に先送りする意向を示しているが、一方で党内各派閥に配慮して今週中にも副大臣、政務官人事を行う予定だ。
「現時点で骨格を変える必要はない。腰を据えた仕事が国民の期待に応えることだ」
 菅義偉官房長官は同日の記者会見で安倍首相の考えをこう代弁した。
 ポスト安倍を窺う石破幹事長も総務会後の記者会見で「やらねばないない課題は極めて多く、大変重いものだ。党一丸となって総理総裁を支え、実現する」と述べている。
是非もないが、問題なのはやるべき安倍政権の課題、仕事の優先順位とその中身であろう。
たとえば、安倍首相は機密情報を漏洩した公務員らへの罰則強化をはかる特定秘密保全法案を国家安全保障会議(日本版NSC)創設法案と併せ、10月15日召集予定の臨時国会で成立させたいとしている。
しかしながら、両法案共に臨時国会で取り上げるほどに国民にとって緊急度、優先度が高い案件とは思えない。さらに言えば、憲法が保障する国民の基本的人権に関わる法案である。審議日程を充分に確保できる時期通常国会でそれこそじっくり腰を据えた論議が求められよう。あるいは安倍首相がそれほど重要視する法案であれば、早期に臨時国会を召集するべきところである。
民主、維新、みんな、共産、生活、社民の6党は18日、自民、公明両党に対して福島第一原発の汚染水漏れや消費税率の引き上げをテーマにした衆院予算員会の集中審議と原発汚染水問題に関する衆院経済産業委員会の閉会中審査の開催と併せ、臨時国会召集の前倒しを求めた。
はたしてこれに「汚染水は完全にブロックされている」とウソをついた安倍首相はどう応じるか。目下、国民にとって最も関心度の高い政治課題であることは言うまでもない。

2013年9月20日金曜日

高支持率に浮かれる安倍首相には浮かばない「シルバーオリンピック開催」の発想と超高齢化社会の都市のあるべき姿


 2020年東京五輪の開催決定で内閣支持率は急上昇である。
 読売新聞が先週末に行った調査では前月比5ポイント増の67パーセント、4月調査以来5ヶ月ぶりに上昇に転じた。また、同調査で五輪開催そのものについても国民の8割以上が「国民に夢や目標を与える」「経済の活性化につながる」として前向きに評価している。  
 五輪開催をアベノミクスの第4の矢と位置づける安倍首相は13日に行われた経済財政諮問会議で「15年続いてきたデフレ、縮み経済を払拭する起爆剤だ。地域の頑張り、創意工夫を引き出せるよう議論して欲しい」と述べて五輪開催の前景気を煽った。席上、五輪担当相を兼務することになった下村博文文科相が今後の取り組み方針を示した「2020ニッポン再生 夢ビジョンJAPAN」発表。それによると、東京を「国家戦略特区」に指定して医療や教育、都市開発に関する規制緩和を実施、競技場や宿泊施設などの整備には民間資金や経営ノウハウを生かすPFI(民間資金活用による社会資本整備)の導入を検討課題にあげ、さらには五輪開催期間中の安価で安定的な電力供給の確保に向け再生可能エネルギーの増税や原発の再稼働にも言及している。
 いわば、安倍首相は七年後の東京五輪を先食いする形で内閣支持率を押し上げたわけだが、少々悪のりが過ぎよう。
 総務省が発表した人口推計では15日時点、65歳以上の高齢者人口は3186万人となり、総人口に占める割合が初めて25パーセントに達したそうだ。また近年、高齢者の孤独死は毎年、5000人以上に上っている。
 つまり七年後の東京五輪は世界で初めての超高齢化都市での開催となるのだが、経済成長一辺倒の安倍首相や東京都の猪瀬直樹都知事には、この最も基本的で重要な視点が欠けてやいまいか。高齢化社会のあるべき都市の姿を示してこその東京五輪でありスポーツの祭典である。パラリンピックと併せ、シルバーオリンピックの初開催国になるくらいの大胆な発想の転換を求めたい。
 

2013年9月17日火曜日

下村文科相の東京五輪担当相兼務で2020年東京は都市機能マヒ

 安倍晋三首相は2020年東京五輪の開催に向けて五輪担当相を新設し、下村博文文科相に兼務させる方針を固めたそうだ。
 スポーツ教育の視点から言えば、文科相の兼務に異論はないが、五輪担当相には選手強化策の他、社会基盤整備や観光客の受け入れ準備など大会運営に関わる政府サイドの総合調整を担うという。
 たとえば観光客の移動手段や宿泊施設の確保、治安防犯対策では警察行政だけでなく国交省との連携が不可欠だ。そうであれば、行政経験の乏しい下村氏には荷が重いのではなかろうか。
また、東京五輪は「アスリートが主役」を掲げている。スポーツとはまったく無縁の下村氏に選手の気持ちをくみ取ることができるとも思えない。
もっといえば、東京五輪の成功には極東アジアの緊張緩和が不可欠だが、安倍側近の下村氏は自民党内では極右に位置づけられる対中強硬派だ。その言動が中韓両国の反発を招くことになれば、五輪の開催に支障をきたそう。
前回、本欄は中韓両国の五輪ボイコットの可能性を指摘した。あるいは中国が100万人規模の観光客を東京に送り込んでくれば、都市機能は麻痺する。日本は世界の笑いものだ。
むろん、五輪開催は7年後のことだから下村氏がその職にとどまっているはずもないが、平和の祭典には似つかわしくない政治家であれば、たとえ1日たりとも担当相に就けるべきではない。できればスポーツ界に精通し、なおかつ行政経験豊富で中韓両国との関係が良好なベテラン議員が適任かと。現職議員に人材が見当たらなければ、スポーツ議連元会長で長く五輪招致運動に汗を掻いてきた森喜郎元首相にお任せしてはどうだろうか。
折しも中国の反発を招いた尖閣諸島の国有化から11日でまる1年。前日には中国海警局の船8隻が尖閣周辺の日本領海内に侵入した。
許されざる暴挙だが、かといって実力行使にでるわけにもいかず、日本の打つ手も限られている。
局面打開のために日本政府が国有化した尖閣諸島を沖縄県に払い下げるなどして1年前の状態に戻すところから対中関係修復の道を探ってみるのも一つの選択肢だ。

2013年9月13日金曜日

安倍首相が世界を欺いて手にした2020年東京五輪への期待と不安

 2020年の夏季五輪の東京開催が決まった。マドリッド有利と見られた土壇場の大逆転劇で主役を演じたのは安倍晋三首相だった。
 日本時間の8日、国際オリンピック委員会のプレゼンテーションで安倍首相は懸念されていた福島第一原発の放射能汚染水問題について「港湾内0・3平方キロメートルの中に完全にブロックしている。抜本解決に向けたプログラムを私が責任を実行する」と述べ、これをIOC委員の多くが信じたわけだ。
 もちろん安倍発言には何の根拠もない。完全にコントロールできているなら今になって国が前面に出る必要はなかろう。いわばウソも方便、世界を欺いての東京招致の決定であった。
 ただ、モノは考えようだ。被災地福島県の佐藤雄平知事はこの安倍発言を逆手にとり「国際公約になったのだから、約束を果たしていただきたい」と遅々として進まない汚染水処理で政府の尻を突いて見せた。
 また、安倍首相は記者会見で「原子力比率を引き下げる。今後、3年間程度の間に再生可能エネルギーの普及と省エネルギーの推進を加速させる。原発再稼働については世界で最も厳しい安全基準のもとで判断する」とも述べている。
安倍首相が期限を切って原発比率の引き下げに言及したことを評価したい。これも国際公約である。ウソから出た誠になることを願うばかりだ。
ともあれ東京開催の決定は多くの国民が望むところだろう。何より経済成長の起爆剤としての期待が大きいようだ。
さっそく週明け9日、日経平均株価は終値で前週比344円42銭高の1万4025円23銭、約1カ月ぶりの高値を付けている。
ただ、これも一方で東京のさらなる一極集中への懸念が指摘されているところだ。
 もう一つ、政治的には東京五輪の開催で長期政権が視野に入った安倍首相のタカ派的体質が気になる。とりわけ対中、韓両国との関係悪化は懸念材料だ。五輪のボイコットは考えられる最悪のシナリオである。
 もちろん、そうならないよう極東アジアの緊張緩和に主導的役割を担うことが五輪主催国の首相としての務めなのだが。 

2013年9月7日土曜日

安倍首相の根拠なき汚染水安全宣言とあさましき日本の五輪招致運動

「経済再生と財政健全化をしっかり達成することを示していきたい」
安倍晋三首相は4日、記者団を前にこう述べ、主要20カ国首脳会議(G20)出席のためロシアのサンクトペテルクへ向かった。しかしながら、各国首脳の最大の関心事がシリア問題であることは言うまでもない。
安倍首相は前日のオバマ米大統領との電話会談でシリアへの軍事介入について「国連安全保障理事会の決議を得る努力を継続して欲しい」と述べ、国連や各国と連携して対応するよう求めたそうだ。現行憲法下、国連中心主義を掲げる日本の外交方針からすれば当然のことだ。
ではなぜ、先に安倍首相は何ら確信のないまま、アサド政権の化学兵器使用を批判し、軍事介入による国家体制の刷新にまで言及してしまったのか。内政干渉も甚だしい。少なくとも戦後、日本の歴代首相が他国の政権に対して公然と退陣を求めた例を知らない。
あるいは安倍首相がシリアへの軍事介入を集団的自衛権の拡大解釈と際限なき自衛隊の海外派兵に道を拓く好機と捉えているとすれば、看破できない発言である。
安倍首相はサミット出席後、7日にアルゼンチンのブエノスアイレスで開催される国際オリンピック委員会(IOC)総会に駆けつける。 
「いよいよ開催地決定に向けて秒読み段階に入った。日本の熱気をIOCの皆さんに伝えて東京招致を勝ち取りたい」
これも出発前、安倍首相は記者団に述べている。
東京開催が決まればこれを否定することはないが、ここにきて福島第一原発の汚染水問題が最大の障害になっていることは周知のとおりだ。
 これについて安倍首相は「政府が前面に出て完全に解決していく。抜本的な措置を断固たる決意で講じており、7年後の20年には全く問題ないとよく説明したい」と述べている。
しかしである。そもそも五輪開催地決定の場で放射能の安全を訴えなければならないところに東京招致の無理がある。
もっと言えば、抜本的な措置があるというのならばまずは国民に説明するのが首相の務めだ。国民が納得し、安心して暮らす姿を見せてこその東京招致ではないのか。首相の発言は重い。人命に関わることであれば、なおさらだ。安売りしてはかえって国益を損なう。

 

2013年9月6日金曜日

シリアへの軍事介入で情勢分析を誤った安倍首相の価値観外交と自衛隊の際限なき海外派兵

夏休み明け早々、緊迫するシリア状勢をめぐり安倍晋三首相は手痛いミスを犯してしまった。
ケリー国務長官が26日の声明でシリアのアサド政権が化学兵器を使用したと断定、翌日にはオバマ大統領がキャメロン英首相やカナダのハーバー首相と軍事介入に向けて電話会談を行ったとのニュースが世界を駆け巡った直後の安倍首相の発言である。
中東訪問中の安倍首相は28日の記者会見で「シリアで化学兵器が使用された可能性が極めて高いと考えている。日本政府は事態の改善のため、国債社会と緊密に連携していく」と述べている。さらに、これと前後して行われたカタールのタミル首長との会談では「情勢悪化の責任は、暴力に訴え無辜の人命を奪い、人道状況の悪化を顧みないアサド政権は道を譲るべきだ」とまで言い切ってしまったからだ。
この二つの発言を合わせれば事実上、日本は米国の軍事行動によるアサド政権の打倒を支持し、日米が軍事的プレゼンスを含め共同行動に出ることを宣言したものと、少なくとも国際社会では受け取られよう。
おそらく、米国への支持をいち早く示すことで同盟国としての存在感だけでなく、安倍首相自らのリーダーシップを見せつけたいとの誘惑にかられたのだろうが、その後の経緯をみれば拙速がすぎた。
国連安保理決議は見送られ、米欧の軍事同盟である北大西洋条約機構(NATO)は不参加、頼みとしたキャメロン首相も英国議会には軍事介入を否決されては身動き取れずにオバマ大統領は窮地に立たされている。
安倍首相が情勢分析を誤ったのは明らかだ。もっと言えば、国民への説明もなく、いきなり国連決議の枠を越えて米国の軍事行動に追随する安倍首相の発言には憲法9条を軽んじる危険極まりない思想がある。
  菅義偉官房長官は2日の記者会見でアサド政権の化学兵器使用について
「誰が使用したかは、引き続き関係国と緊密に連携を取りながら情報を収集、分析しているのが今の現状だ」
 と述べるにとどめたが、この間の安倍発言との矛盾をどう説明するのか。早急に国会を召集するべきだ。

2013年9月2日月曜日

内閣改造の一部前倒しで見えてきた安倍首相と派閥ボスの裏取引

 安倍晋三首相が臨時国会前の内閣改造を見送る方針を固めたそうだ。28日、大手メディアは政府筋の話としてこれを一斉に報じているが、一方で9月任期切れとなる党役員人事に合わせて副大臣、政務官の人事を行うとも。
 秋の臨時国会をまたぎ、消費増税の判断や環太平洋連携協定(TPP)交渉、集団的自衛権の行使容認に向けた憲法解釈、追加の経済成長戦略など重要案件が山積する中では現体制の維持は当然の選択だ。もっとも、副大臣は天皇の認証官であり大臣に準じる扱いである。報道されたとおりであれば、安倍首相は臨時国会前に内閣改造の一部を前倒しするとの表現がより正確だ。
 お盆前、同じく政府筋の話として安倍首相が内閣改造を12月以降に先送りする意向を示していたとの報道があった。
また、先に本欄は「安倍首相が臨時国会前の内閣改造に踏み切るようなら、派閥政治の完全復活を意味することになる」と指摘した。
それからすれば、内閣改造の一部前倒しは派閥政治との妥協の産物と言えよう。
報道を受けて菅義偉官房長官は同日午前の記者会見で「ひと段落したある時期に首相が判断するだろう。首相の専権事項だ」と述べるに止めている。
だが、件の“政府筋”が菅氏であることくらいは容易に察しが付こう。いわば永田町の常識だ。
おそらく菅氏は安倍首相が派閥政治に屈したとの印象を持たれることを嫌い、番記者とのオレレコ懇談で「見送り」と報じるよう求めたのだろう。
いずれにせよ、安倍首相と派閥ボスたちとの政権運営をめぐる綱引きはまだ始まったばかりだ。
今後、安倍首相が党役員人事で最大派閥町村派会長の町村信孝元外相と第2派閥の額賀派会長の額賀福志郎元防衛相を党3役クラスで処遇し、副大臣、政務官の一部内閣改造人事が派閥均衡、順送りとなるようなら派閥政治の完全復活とみてまず間違いない。族議員を通じて公共事業や補助金が無駄に垂れ流されることになろう。