2013年9月26日木曜日

消費増税と抱き合わせの5兆円経済対策でも救えない非正規労働者

 安倍晋三首相が来年4月の消費税率8パーセント引き上げを決断した。週明け10月1日にも正式表明する。きっと東京五輪の招致決定が安倍首相の背中を一押ししたに違いない。今後の注目点は政府が消費増税と抱き合わせで打ち出す5兆円規模の経済対策と国民生活への影響である。
 経済政策の目玉は設備投資減税3000億円と復興法人税を1年前倒しで廃止することによる8800億円の税負担軽減など。計約1兆4千億円超の企業減税となる見込みだ。
 企業の設備投資を促す一方、負担軽減で浮いた資金を雇用や給与増につなげて懸念される消費増税後の景気の腰折れを回避したいとしている。
設備投資減税はともかく、国民からすればやはり気になるのは消費税率3パーセント分の負担増と給与・賃金の上昇幅との兼ね合いだろう。
「経済がマイナスからプラスに反転する動きが出ている。これを企業収益、賃金、雇用の拡大に伴う経済の好循環につなげられるかどうか。ここが勝負どころだ」
 安倍晋三首相は20日に行われた経済、労働界の代表と経済政策を協議する「政労使協議」の場でこう述べている。おっしゃるとおり、いくら企業収益が改善しても雇用の拡大や賃金の上昇につながらなくては、国民の暮らしを圧迫し、消費は冷え込む。
 このため政府は現行、賃上げ率「5パーセント以上」の企業を対象にしていた賃金増加分の10パーセント減税措置の基準を「3パーセント以上」に緩和するなど賃上げ環境を整備し、さらに企業に対して減税分の使途の公表を促すそうだ。
 また、低所得者対策として「住民税非課税世帯」の約2400万人を対象に一人一万円を支給。このうち年金受給者や低所得者のひとり親に支給される「児童扶養手当」を受け取っている人には5千円の上乗せを検討、総額で3000億円程度の支出増となる大盤振る舞いだ。注文を付けるなら、非正規労働者の待遇改善で具体策が欲しいところか。
何やら社会主義国家の統制経済と見紛うばかりの安倍政権だが、裏を返せば、それほどまでに日本経済が病んでいるとも言えようか。

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