2013年7月18日木曜日

消費税率引き上げのアリバイづくりに荷担する日銀が失った国民の信用

安倍晋三首相の経済ブレーンで内閣官房参与の浜田宏一氏は13日の講演で消費税率の引き上げについて「増税は経済に対し大きなショックを与える」と前置きした上、4~6月期の実質経済成長率が1~3月期の4・1パーセント程度であれば「怖いが(増税の)橋を渡ることはあり得る」との考えを示した。
浜田氏は11日の講演でも「本当に景気がよくなったら上げることができるが、現実的に見て心配だという時には延期する考え方もある。(景気回復が軌道に乗る前の消費税増税は)税収は上がってこない。財政再建に役に立たない」と引き上げに慎重な姿勢を示しているが、引き上げの判断基準については、「有効求人倍率で1倍を超える勢いが見え、(完全)失業率も3パーセント台に下がるところ」としている。
参院選の最中、これまで漠としていた消費税率引き上げの判断基準を政府関係者が具体的な数字で示したことをまずは高く評価したい。
もっとも日本銀行は11日の金融政策決定会合で景気の基調判断を7カ月連続で上方修正し、「穏やかに回復しつつある」との表現でこれまで以上に景気が上り調子にあることを強調している。
日銀の景気判断にはアベノミクスの成功を裏保証すると同時に消費税率の引き上げが既定路線であることを印象付ける狙いがあったのだろう。
これでは先に結論ありきの原発再稼働に安全のお墨付きを与える原子力規制委員会と何ら変わらない。日銀の中立性が疑われよう。
ちなみに浜田氏が消費税率引き上げの判断基準に上げている失業率は5月4・1パーセントで3月以降横ばい状態、有効求人倍数は昨年12月の0・82倍から5月0・9倍へわずかに改善されたものの1倍超えのハードルは高い。
また、時事通信が行った直近の世論調査では63・1パーセントが「家計の負担増」などを理由に消費税率の引き上げに反対している。
安倍自民党にはこうした国民の不安を払拭する責任がある。少なくとも浜田氏が示した引き上げの判断基準については安倍首相自らの考えを明らかにした上で有権者の判断を仰ぐべきではないのか。

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