「仮に中東、 インド洋などの地域で深刻な軍事的緊張状態や武力衝突が発生した 場合、 わが国に物資を運ぶ日本の船舶に深刻な影響が及ぶ可能性があり、 米国などがこうした事態に対応するために活動している状況が生じ た時はあり得る」
安倍晋三首相は1日の行われた衆院平和安全法制特別委員会でこう 述べ、 米国など他国軍への自衛隊の後方支援で想定する活動地域に初めて 言及した。
周知のとおり、 現行の周辺事態法は朝鮮半島や尖閣諸島など日本周辺の有事を想定 しているが、これに代わる重要事態法では地理的制約をなくし、 論理的には自衛隊の地球規模での後方支援が可能になる。 国民の多くが懸念するところだが、 具体的な活動地域を法案に書き込めば、 少しは国民の理解も深まるはず。
安倍首相はまた、他国領域での集団的自衛権の行使について「 海外派兵は憲法上、一般に許されない」としながら、「 安全保障にかかわることなので例外を全く排除はしていない」 と述べ、他国領域での活動も可能との考えを示した。 その上で想定する自衛隊の活動について「中東・ ホルムズ海峡での機雷掃海以外は念頭にない」と改めて表明。 とすれば、自衛隊の活動地域は自ずと限定される。 これ以外の地域に自衛隊を派遣する場合はその都度、 特措法で対応すれば、なお分かりやすい。
それにしても残念なのが自衛隊員のリスクをめぐる中谷元防衛相の 発言である。
この日は自民党の岩屋毅・安全保障調査会副会長が質問に立ち、「 自衛隊の活動の範囲、内容は確かに増えていく。 従ってリスクが増える可能性があるということは事実だ」 と自衛隊のリスク増大を認めるよう促したが、それでもなお「 さまざまな活動を通じて抑止力が働くし、 現状から増大するとは全体として言えない。 いささかも隊員のリスクを高めるものではない」と強弁。 安倍首相までもが「法制面、 運用面の取り組みを車の両輪として隊員の安全確保を図っていきた い」と述べるにとどめた。
こんな不誠実な答弁をどうして国民の理解を得ることができよう。 法案審議の障害は早めに取り除くことだ。
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