野党が「戦争法案」と呼ぶ安全保障関連法案が26日、 衆院本会議で審議入りした。 8月お盆前までの長丁場の論戦となりそうだが、 戦後日本の安全保障政策の大転換となるだけに与野党の論戦を通じ て多くの国民が納得できる着地点を見出して欲しいものだ。
毎日新聞の直近の世論調査では未だ53パーセントの国民が反対し ている現状では、政府案も無傷ではいられまい。
賛否逆転させるには何より集団的自衛権の行使容認で自衛隊の活動 が質量ともに際限なく拡大するのではないかとの国民の懸念を払し ょくすることだ。
周知のとおり、 政府は集団的自衛権の行使を含む自衛隊の武力行使について(1) 国の存立を脅かす明白な危険(2)他に適当な手段がない(3) 必要最小限の行使の三要件を設けて「歯止め」としている。
これに基づき菅義偉官房長官は22日の記者会見で「いわゆる『 海外派兵』は一般に自衛のための最小限度を超える。 かつての湾岸戦争やイラク戦争での戦闘、 敵を撃破するための大規模な空爆や攻撃、 敵の領土に攻め入るような行為に参加することはない」 と述べていた。
だったら専守防衛の基本原則を越えた他国領土、領空、 領海での武力行使を禁じる文言を法案に盛り込めば国民も少しは安 心する。
あるいは安倍晋三首相が意欲を見せる中東ホルムズ海峡の機雷掃海 では、 国の存続を脅かす明白な危険の判断基準として中谷元防衛相が24 日夜のNHK番組で「(輸入できない期間が) 半年以上も続くと国民生活に死活的な影響が及ぶ事態が発生する」 と述べていた。 そうであればこれも法案に書き込んだ方が国民には親切だ。
言い換えれば政府案に歯止めはあって無きに等しく、 時の政権の判断で解釈は何とでもなる。 とりわけ歴代内閣が積み重ねてきた憲法解釈を一夜にして塗り替え てしまうほどに短慮な安倍首相の下で日本が戦争に巻き込まれる危 険性を否定するのは、黒を白と言いくるめるより難しい。「 戦争法案」と呼ばれる所以である。
それでも政府与党が一切の修正に応じないまま強行突破をはかるな ら法案成立後、速やかに国民に信を問うことだ。
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