2015年7月2日木曜日

安保法案採決と引き換えにした安倍退陣シナリオ

24日に会期末を迎える国会会期が過去最長の95日間、9月27日までに大幅延長される。これに関して安倍晋三首相は22日、公明党の山口那津男代表との会談で「戦後以来の大改革を行う国会だ。平和安全法制は丁寧に議論せよとの声に耳を傾け、9月27日までとしたい。戦後最長となるが、審議時間を多く取って議論する意志を示したい」と述べている。
安保関連法案の今国会成立を目指す政府与党は当初、会期末までに衆院通過を通過させる予定だった。このため延長幅は最悪、参院で採決できないことを想定し、衆院の再可決による成立が可能になる60日間、8月中旬を軸に検討してきた。ところがフタを開ければ、“超”がつくほどの大幅延長である。
これに先立ち与党との修正協議に含みを残す維新の党の松野頼久代表は21日、記者団ンを前に「十分な審議がないまま採決することがあれば、採決には応じられない」としつつ、
会期の大幅延長については「一回区切って秋の臨時国会でやればいい」との考えを示した。
 また、民主党の岡田克也代表は「仮に延長になれば、安全保障関連法案の問題を徹底的に議論し、国民世論を巻き込んで廃案に持っていく」と述べている。
 いずれにせよ、国民からすれば賛否の判断材料は多いに越したことはない。国会での徹底論戦は望むところだ。
 もっとも、いくら国会審議を多く取ったとしても国民世論が安倍首相の期待通りに頷いてくれるとは限らない。
折しも22日の衆院平和安全法制特別委員会に参考人として呼ばれた宮崎礼いち?元内閣法制局長官は、安保関連法案を「従来の憲法解釈とは相いれず、憲法違反だ」と断じ、政府与党が主張する自国防衛のための集団的自衛権の行使は「虚構であり、歴史を甚だしく歪曲している」と厳しく批判。さらにもう一人、阪田雅裕元内閣法制局長官も政府が想定するホルムズ海峡での機雷掃海について「従来の憲法解釈の枠内にない」との見解を示している。
それでも政府与党が持論に固執して強弁、詭弁を重ねるのであれば、国民のさらなる離反を招くことになる。
一方、9月の自民党総裁選を視野に入れれば、国民世論の反対を押し切っての衆院の再可決は、安倍首相の再選戦略にも影響を与えよう。
窮屈な日程を考えれば、自民党総裁選は両院議員総会での決着が常識だ。それまでに維新との修正合意が成れば、安倍首相の無投票再選は確実だ。最悪、再可決となれば潔く身を退き、安倍政権をいわば居ぬきで谷垣禎一幹事長に明け渡す。そんな密約説も囁かれる会期延長である。


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