2015年7月21日火曜日

化けの皮はがれた安倍の安保と経済成長戦略

 安保関連法案審議の成り行きが注目される中、民主、維新両党は8日、日本周辺有事に対応する「領域警備法案」を衆院に共同提出した。これとは別に維新は単独で政府の安保関連法案の対案となる「平和安全整備法案」など2法案も提出。共同提出をめぐり紆余曲折があったものの野党が足並みをそろえて対案を示したことを評価したい。
これで国民有権者は政府案の賛否だけでなく、与野党の法案を吟味しての中身をその優劣を判断ができるようになった。
 ところがどうだ。菅義偉官房長官は同日の記者会見で「対案を出されるようだから、その中で(政府案との)違いなどを通じて、議論は深まっていくと思う。ただ、
いつまでもだらだらと続けることでなく、やはり決めるところは決めるということも、一つの責任だと思う」と述べている。衆院採決を当初予定通り、週明けにも強行する構えなのだ。あるいは野党の対案を審議するにしても、衆院で3分の2の再可決可能な「60日ルール」が使える21日の週までとの考えだ。
 国民世論の6割が政府案に対して違憲との見方を示し、今国会での成立に反対しているにもかかわらず、これでは国民の付託に応える政府与党の責任を放棄したのも同然である。
 しかも安倍晋三首相はこの日、全国市長会や全国町村会の代表らとの会合で「地方創生を進化させることで、さらに全国津々浦々にアベノミクスの効果を波及させ、国民一人一人が豊かさを実感できるよう取り組んでいきたい」とあいさつ。得意の安保外交で行詰まれば、バラマキ政策をチラつかせて国民有権者の歓心を引く。浅はかな宰相である。
 折しも内閣府が発表した6月の景気ウォッチャー調査によれば、3か月前と比べた街角景況感を示す現状判断指数は、前月比2・3ポイント低下し、二か月連続で悪化。頼みの株価(8日終値)もギリシャ危機に続く、中国リスクの高まりを受けて2万円を大きく割り込んでしまった。
「経済成長なくして財政再建なし」とは安倍首相が常日頃から口にするフレーズだが、その前提条件に暗雲立ち込める日本経済の先行きである。政権の命運尽きる日もそう遠くない。
 

 

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