2012年6月12日火曜日

野田政権の1年その②

●東京スポーツ「永田町ワイドショー」2011年9月2日号(ゲラ刷り)

新政権はとにかく、腰を据えて山積する政治課題に取り組むことだ。注目された野田流人事は、その前提となる挙党態勢の構築を強く意識したものとなった。小沢一郎元代表に近い輿石東参院議員会長の幹事長起用が、何よりの象徴である。小沢氏の処分撤回を主張していた興石氏が「いろんな考えがあるから民主主義のルールと時期を見て考えたい」と一転して慎重姿勢に転じたのは挙党態勢を担う幹事長の立場であれば当然だろう。いずれ小沢氏を復権させるにしても、一審判決で無罪を勝ち取った後でなければ、国民世論の批判を浴びることになろう。
解散のない参院議員が衆院議員の公認権を握ることには異論もあるが、逆の見方をすれば、衆院の選挙区事情に疎い輿石氏であれば、権力の集中は避けられよう。あるいは小沢氏の復権を待ち、選対本部長に起用する選択肢も残しておけるから案外、悪くはない。
日教組のドンとして教育行政を歪めてきた輿石氏が政権与党のド真ん中に座ることに不安もあるが、それでももう一つ、保守派の論客でもある野田佳彦新首相があえて輿石氏を幹事長に起用した理由があるとすれば、過半数割れの参院の多数派工作を期待してのことだろう。
自民、公明両党との大連立に意欲をみせる野田新首相だが、実は以前から別のシナリオも水面下で複数進行中である。
その一つが菅政権下、昨年秋から続く「たちあがれ日本」と「改革新党」との連立工作だ。自民、公明両党が対決姿勢に出てきたとしても、衆院で3分の2の議席があれば、法案成立に道筋がつく。与謝野経済財政担当相の一本釣りが批判を浴びて頓挫したものの、野田新首相と「たちあげれ日本」の園田直之幹事長の関係は良好だ。新党改革の舛添要一代表も連立には前向きだ。
一方、参院に目を転じれば、民主党との連携を睨んだ第3極新党構想がある。先に行われた参院の首班指名の決選投票で野田氏は110票得たが、これに「たちあがれ日本」3票と「改革新党」2票を加えても過半数には届かない。第3極新党は、この両党を合体させ、なおかつ、自民党内の離反を呼び込む受け皿にする狙いがある。野田民主党の腕のみせどころだ。 


 


●東京スポーツ「永田町ワイドショー」2011年9月7日号(ゲラ刷り)

「どじょう」新内閣の支持率が出揃った。各紙60パーセント前後と予想外に高い。政党支持率も回復した。
「菅直人内閣のひどい状態から、新しい首相に代わって国民がほっとした数字だ」とは、自民党の大島理森副総裁の見立てである。まあ、そんなところだ。
それにもう一つ、世論調査で国民が求めているのは与野党の協調である。このことは自民党支持層の60パーセント近くが野田内閣の誕生を歓迎していることでも分かる。
原発事故の早期収束と被災地復旧復興、税と社会保障の一体改革に加えて円高、景気対策は喫緊の課題だ。国民は民主党政権に挙党態勢だけでなく、挙国一致で難局にあたるよう求めているのである。
ところが先週2日、野田佳彦首相は自民、公明両党と個別に行った党首会談で震災復興と2011年度税制改正、総合経済対策に関する3党の協議機関設置を提案したものの、両党ともに消極的な姿勢を示している。しかも、自民党は懲りずに早期解散を求めいくつもりだ。
頃良く、野田首相に外国人献金問題が浮上した。献金額は01年からの6年間でわずか31万8千円。自民党は「(外相を辞任した)前原誠司政調会長と同じだ。臨時国会で徹底的に追及する」(山本一太参院政審会長)と息巻く。
新任の一川保夫防衛相が「安全保障は素人だが、これが本当のシビリアンコントロールだ」と軽口を叩き、これも「一刻も早く辞めていただきたい。感情的に言うと最初から問責(決議案)を出したい」(前同)と敵意剥き出しである。それでどうして自民党は国民の期待に応えることができよう。
安住淳財務相は4日、震災復興のための第3次補正予算案について、10月中旬の国会提出を目指す考えを示した。10兆円を超える復興財源をどう手当するのか。早期成立は政府与党だけでなく、与野党の枠を超えて負うべき責任だ。政局優先の政治は、しばらく封印してもらいたい。
  






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