2015年9月5日土曜日

総裁選を左右する参院での安保修正審議

次世代の党と日本を元気にする会、新党改革の3党は24日、安保関連法案の修正案を参院に共同提出することで合意した。週内にも提出する見込みだ。
 修正案は、政府案にある存立危機事態と重要影響事態の際、自衛隊の派遣にあたり国会の事前承認を義務付けるもの。自衛隊の活動を継続する場合は90日毎に国会の事前承認を義務付け、さらに自衛隊の活動を常時監視、事後検証するための組織を国会に設置するよう求めている。
これとは別に維新の党は先週20日、政府案の修正ではなく政府案の「存続危機事態」に代わる「武力攻撃危機事態」への対処法案や「国際平和支援法」に代わる自衛隊の海外派遣の恒久法案など5本の対案を提出している。
 次世代の党など3党の修正案は集団的自衛権の行使容認の憲法解釈を前提として、自衛隊の活動に政府案より厳しく歯止めをかけたもの。
これに対して維新の対案は集団的自衛権の行使容認の憲法解釈を認めず、日本周辺の有事対応は個別的自衛権で対応できるとして、政府案が想定するホルムズ海峡や南沙諸島での機雷掃海活動など自衛隊の海外活動については従来の特措法の範囲を越えることは許さない。
 日本周辺の有事について維新の党はさらに武力行使に至らないグレーゾーン事態への対応で「領域警備法案」など3法案を民主党と共同提出する方向で協議を重ねている。
「協議が整い、案ができれば、基本的に出すことになる」
 民主党の岡田克也代表は21日の記者会見でこう述べ、共同提出に前向きな姿勢を見せている。維新の党は仮に民主党が共同提出を拒否した場合、単独提出も辞さずの構えである。
 是非はともかくこれで、何でも反対の共産、社民両党を併せ安保法案をめぐる各党の考えは出そろった。あとは参院の安保特別委員会を取り仕切る鴻池祥肇委員長の手綱裁きにかかっている。
 現時点、政府与党は9月11日までに政府案を無傷のまま参院で可決成立させたいとしている。万が一にも採決が先送りされれば、60日ルールを盾に衆院で再可決する構えだ。
 だからかこのところ、自民党幹部からは9月会期末にも行われる自民党総裁選とその後の内閣党役員人事をめぐる発言が相次いでいる。安倍総裁の再選を前提にしたものだが、先週20日、鴻池委員長は本欄の取材に「衆院でどさくさに紛れるように強行採決をやり、参院ではそんなわけにいかんぞと思っているときに、総裁選や人事の話が出ているのは極めて不快だ」と述べ、野党との修正合意が成れば、これをもって参院で可決し衆院に送り返す可能性を示唆した。
 そうなれば安倍首相は60日ルールによる政府案の再可決か、参院の修正案で妥協するかの選択を迫られよう。そしてはたしてどちらを国民が評価するか。安倍続投を言うのはまだ早い。

 

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