2015年9月5日土曜日

維新分裂新党立ち上げで橋下大阪市長があてにする官房機密費

「一部の野党やマスコミから戦争法案、徴兵制の復活などと宣伝され、大きな誤解が生じていることは極めて残念だ。わが国を取り巻く安全保障環境は厳しさを増している。国民の生命と平和な暮らし守るのは政府の責任だ。万が一に備える必要があることも訴え、誤った認識を解く努力をしたい」 
菅義偉官房長官は31日の記者会見で前日に行われた反安保デモをこう評した。
ちょっと待てよ。デモの規模は国会周辺だけ10万人とも30万人とも言われているが、いずれにせよ参加者の背後には「集団的自衛権」の行使容認を前提とした政府提出の安保関連法案に反対する多くの国民の声があることを忘れてもらっては困る。
多くの国民の声が何を指すかは過去、マスコミ各社の世論調査が示す通りだ。国民の6~8割が「集団的自衛権の行使容認」に対して違憲の疑いを持ち、慎重審議を求めている法案である。
もとより、国民の生命と平和な暮らしを守る責任が政府にあることを否定するものではい。さらには日本を取り巻く安全保障環境の厳しさも承知の上で「集団的自衛権」の行使容認に踏み込むことなく、歴代内閣が示してきた憲法解釈の範囲の中で安全保障体制の見直し強化を求めているのだ。
国民の理解が得られないことを一部の野党やマスコミの宣伝に基づく誤解だと切って捨てるのであれば、もはや政権を担う資格はない。
周知のとおり、安保関連法案については維新の党が参院に対案を提出、これとは別に次世代の党など野党3党が修正案をまとめ、それぞれ自民、公明両党との修正協議に入っている。
ただ、分裂必至の維新の党との修正協議については、自民党の高村正彦副総裁が31日、記者団を前に「われわれが害にならないと思うところは、できるだけ取り入れて維新が受け入れるなら修正はあり得る」としつつ「必ずしも楽観していない」と述べている。
安倍政権に近い大阪維新グループが政府案支持に回れば、「集団的自衛権」の行使を認めない維新案は交渉の余地なしとの考えだ。
それでは自衛隊の派遣に例外なき国会の事前承認を義務付けた次世代の党など野党3党の修正案はどうか。こちらは安倍内閣が閣議決定した「集団的自衛権」の行使容認を前提にしたものだが、衆参ねじれ国会となれば「集団的自衛権」の行使が封印されるリスクが伴う。
交渉の余地はあろうが、維新の分裂で修正案の相対的な価値は低下してしまった。まさに大阪維新グループを率いる橋下徹大阪市長さま様の安倍政権である。
「デモで国家の意思が決定されるのは絶対にダメだ。しかも今回の国会前の安保反対のデモ。たったあれだけの人数で国家の意思が決まるなんて民主主義の否定だ」
 橋下市長はデモの翌日、自身のツイッター上にこう書き込んでいる。何やら菅官房長官と口裏合わせたような物言いである。

 10月に立ち上げる予定の橋下分裂新党は来夏の参院選で全国に候補者を擁立するそうだ。巨額の選挙資金が入用だが、官房機密費をあてにしているとすれば、安倍政権にとっては安い買い物である。

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