2015年8月2日日曜日

「支持率より法案成立」の高村発言は「安倍より安保」の退陣勧告

安保関連法案をめぐる与野党の攻防は、今週からその舞台を参院に移す。安倍晋三首相は17日の強行採決直後、自民党の谷垣禎一幹事長との会談で「(安保関連法案を)この国会で仕上げないといけない」と述べた。

 しかしながら参院の各会派の勢力図を見れば、自民113議席に公明党の20議席を合わせて133議席に止まる。過半数の121議席は超えるものの、その差はわずかに12議席しかなく、採決に至るまでの道のりは平たんではない。政府与党にはこれまでにない謙虚で丁寧な国会運営が求められるところだ。

 しかも、マスコミ各社が17~18日両日に行った世論調査で内閣支持率は毎日新聞が35%、共同通信社が37・7%、FNNが37・7%だった。いずれも政権発足以来、過去最低を記録。一方で不支持率は毎日新聞が51%、共同通信社が51・7%、FNNが52・6%にまで跳ね上がり、こちらは政権発足以来、初めて不支持が支持を逆転している。加えてFNNでは衆院の強行採決について自民党支持層でも43%が問題視している安保法案の参院審議である。

周知のとおり安保法案は最悪の場合でも9月14日を過ぎれば「60日ルール」に従い衆院の再可決により成立するが、国民有権者に見放された安倍内閣にはたしてそれだけの体力が残されているかどうか。まずもって来夏、真っ先に国民の審判を仰ぐことになる自民、公明両党の参院議員がこうした暴挙を黙って見過ごすわけがない。

「刹那(せつな)的な世論だけに頼っていたら、自衛隊も日米安保条約改定もできなかった。支持率を犠牲にしてでも、国民のために必要なことはやってきたのがわが党の誇るべき歴史だ」

 自民党の高村正彦副総裁は19日のテレビ番組でこう述べた。あくまで安保法案を無傷のまま成立させる構えだが、国民の支持を失った安倍首相では来夏の参院選は戦えない。裏を返せば参院審議がヤマ場を迎える9月、法案成立を引き換えにした安倍退陣の可能性を示唆したものともとれよう。ご高齢ながら中継ぎ役としてなら高村氏もまた、ポスト安倍の有資格者である。

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