2015年4月18日土曜日

高浜原発再稼働に待ったをかけた福井地裁の良識


 福井地裁が14日、高浜原発の再稼働差し止めの仮処分を決定した。

同地裁は決定理由で再稼働の可否を判断する原子力規制委員会の審査基準について、「周辺住民の生命、身体に重大な危害を及ぼす等の深刻な災害を引き起こすおそれが万が一にもないといえるような厳格な内容を備えていない」として「これに適合しても本件原発の安全性は確保されていない。合理性を欠くものだ」と切って捨てた。

 原発再稼働に対する国民の不安を代弁する極めて妥当な判断である。

 しかも、今回の仮処分は高浜原発から約50~100キロ離れた福井、京都、大阪、兵庫の4府県の住人の申し立てによるもの。福島原発事故の被ばくの拡がりをみれば、原発再稼働の是非が政府、電力会社と原発立地自治体の3者の合意だけで済まされないことを示した福島地裁の仮処分決定でもあろう。

「政府が強弁しているほど現在の手続きでの原発の安全性が世の中で受け入れられていないことを示した。政府は真摯に受け止め慎重に対応すべきだ」

 民主党の枝野幸男幹事長は地裁の判断をこう評価。共産党の小池晃副委員長は「司法の判断で再稼働が差し止められた全国初のケースで極めて大きな意義がある。政権と電力会社は全原発の再稼働を断念すべきだ」と再稼働中止を求めている。

 ところが、原発再稼働に前のめりの安倍政権は菅義偉官房長官が14日の記者会見で「原子力規制委員会が世界で最も厳しい新基準に適合すると判断した。政府としてはその判断を尊重し、再稼働を進めていく方針に変わりはない」

 と述べ、司法の判断を無視する構えだ。

 先の衆院選での圧勝と高支持率に支えられた安倍内閣の傲慢さが見て取れよう。

反原発を鮮明にしてきたテレビ朝日「報道ステーション」への介入もさもありなんの安倍政権である。

戦後日本の民主主義の劣化は目を覆うばかりだ。

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