2015年4月2日木曜日

アベノ地方分権と沖縄県民への冷酷


 沖縄県の翁長雄志知事が23日、防衛省に対して米軍普天間基地の移設工事に伴う海底ボーリング調査などの停止を指示した。併せて一週間以内に停止しなければ、岩礁破砕許可そのものを取り消す方針だ。昨年11月、辺野古移設阻止を訴えて当選した知事であれば、当然の決断である。

 これに対して政府は菅義偉官房長官が24日の記者会見で知事の指示について「違法性が重大かつ明白で無効なものだ」と厳しく批判。中谷元防衛相はこの日の参院外交防衛委員会で「知事の指示は無効であり、現在行っている作業を中断する理由とはならない」と述べ、即刻、知事の停止指示を無効とする行政不服審査を監督官庁の農水省に求めた。

 首相官邸は再三にわたり話し合いを求める翁長知事との面会を拒絶したばかりか、法的対抗手段までもチラつかせ、力づくで地元の声をねじ伏せてしまうつもりなのか。さならが解決までに30年の歳月を要した成田三里塚闘争の再来を予感させる政府と沖縄県民との対立の構図である。

 折しも26日には統一地方選が告示されるが、この機会に国民有権者には中央政府と地方自治の関係、さらには国家あるべき姿そのものを考え、議論を深めてもらいたい。

 一カ月にわたる選挙戦の前半は12日に10道県知事選と5政令市長選、41道府県議選、17政令市議選が投開票。後半は26日に政令市以外の市区町村長選と議員選が投開票される。とりわけ前半戦、与野党が激突する北海道と大分県の両知事選は注目だ。

 普天間移設問題に対する政府の高圧的な対応はけっして他人事ではない。問われるのは国益を振りかざして地方の声を踏み潰す安倍政権の是非だ。

 負ければ昨年秋以降、滋賀、佐賀、沖縄の三県知事選に続く敗北となる。与党はきっと「地方選の結果は国政とは関係ない」と開き直るだろう。

 だが、安倍政権は地方再生を掲げての統一地方選である。どう言い逃れしようとも地方選の結果はそのまま政権の評価に直結する。

それぞれ地元に優先すべき課題はあろうが、安倍政権の甘言に惑わされてはいずれ沖縄県民のように冷酷無慈悲に打ち捨てられてしまうかもしれない。

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