2015年5月7日木曜日

地方議員の質が問われた統一地方選


 26日投開票の統一地方選後半戦は懸念した通り、地方自治の崩壊を印象付けた。総務省が翌日発表した投票率を見れば一目瞭然。市区町村長選の平均投票率は50・53パーセントで過去最低だった前回11年の統一選の52・97パーセントを下回った。同じく過去最低を記録した市区長村議選にいたっては48・62パーセントで統一選としては初の過半数割れである。

 地方分権が声高に叫ばれて久しいが、この数字からは自治意識の希薄な有権者像が浮かび上がってこよう。

 本欄が注目市長選として取り上げた函館市長選は、青森県の大間原発建設差し止め訴訟の是非をめぐり争われたが、現職の工藤寿樹氏が(65)がこれに異を唱える新人候補に約6万6千票の大差をつけ再選をはたした。原発立地以外の自治体選挙で原発建設の是非が争点となるのは画期的なことだ。今後は函館市に止まらず県境を越え、原発立地周辺の市町村が足並みを揃えて建設反対を訴えれば、国のエネルギー政策に対する地方地自治体の影響力は格段に増すはずだ。

 ただ、それにしてもの投票率である。前回から3・79パーセント減の51・86パーセントでは、原発建設の差し止めを求める函館市民の確固たる意志を政府に突き付けたとまでは言い難い。政府に補助金のエサをぶら下げられたら賛否いつ逆転してもおかしくない。安倍政権にとっては蚊に刺された程度の選挙結果であろうか。

 函館市長選とは別の意味で興味深いのは原発再稼の是非が問われた新潟県の柏崎市議選の結果である。こちらは再稼働賛成派が議席を伸ばして6割以上の議席占有率となった。

 投票率の64・97パーセントは前回より1・67ポイント減だがそれでも有権者の堂々とした自治意識の表れである。

 ただし柏崎市の場合はもはや原発経済を抜きにしては成り立たない地方自治と住民の暮らしを目の前に突き付けられての選択であろう。

 あるいは再稼働反対派が脱原発経済の青写真を指示し、そこに希望を見いだせれば有権者の判断はまた違うものになったはず。原発政策を批判するだけでは何も変わらない。その意味では有権者の自治意識以上に地方議員の質が問われた統一選だった。

 

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