2015年5月15日金曜日

自衛隊の多国籍軍参加で2兆円の戦時債券発行



安倍晋三首相が今夏の成立を明言している安全保障関連法案は14日に閣議決定された。国会論戦は新法の「国際平和支援法案」と現行関連法の改正案10本を一括りにした「平和安全法整備案」の二本立てとなるが、どちらにも取って付けたように「平和」の二文字が入るところからしていかがわしさ漂う安保法整備である。自衛隊の地球規模で活動がどう日本と世界の平和に結びつくものか。徹底した論戦を期待したい。

 加えて言えば、15年度予算で防衛費は過去最高の5兆円規模となる。3年連続の増加だが、自衛隊の海外活動が常態化すればいったいどれだけの防衛費が必要となるのか。

 防衛省関係者によれば、仮に今後5年以内にイラク戦争級の国際紛争に自衛隊が参加した場合、向こう5年間に少なくとも1〜2兆円規模の予算措置が必要になるとのこと。その財源も含めて国民にとっては気になるところだ。

 折しも財務省が8日に発表した14年度末の国の借金残高は1053兆円に上る。前年度より28兆円増加して過去最大を更新した。国民一人当たりに換算すると約83万円になるそうだ。

 財政再建が喫緊の課題であることは言うまでもない。このため安倍政権がかねてより20年度までの国と地方の基礎的財政収支(プライマリーバランス)の黒字化を目標に掲げているのは周知のとおりだ。しかしながら安倍首相は消費税率を10パーセントに再引き上げする17年4月以降のさらなる引き上げを早々封印。6月にまとめる財政健全化計画では経済成長の加速による税収増と社会保障費の削減などによる再建努力を盛り込む方針だ。それでも内閣府の試算では、20年度までに毎年3パーセントの名目成長率でプライバリーバランスはなお9・4兆円の赤字である。

 景気の見通しほどあてにならないものはないが、 しかもこれには安保法整備に伴う防衛支出の増大分は加味されておらず、それでいて社会保障費の削減で国民にだけ痛みを強いるというのだから、ムシのいい話である。

 あるいは財源の穴埋めにまもなく終了する復興特別法人税をそのまま国際平和支援税に衣替えして流用することを考えているのかもしれない。それとも戦時債権の発行か。

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