2014年6月21日土曜日

集団的自衛権で公明党をビビらせた政教一致の脅し


 今国会はさしたる波乱もなく22日に会期末となる。残すところ政府は年末に取りまとめる来年度予算案と税制大綱に向けた「骨太の方針」、そしてもう一つが新たな日米ガイドライン作成のために集団的自衛権行使を可能にする憲法解釈の見直しを急ぎ閣議決定したいところだ。

 このうち骨太の方針について自民党は11日、政調全体会議・日本経済再生本部合同会議が開き、概ね政府与党内の調整を終えた。

 注目された法人税の実効税率引き下げには党内になお慎重論が燻っているが、安倍首相の意向通り、来年度から数年かけて20パーセント台(現行34・62パーセント)に引き下げることが骨太の方針に盛り込まれる。

 消費税増税や社会保障費の負担増で国民に我慢を強いる中での法人税率の大幅な引き下げが近い将来、安倍政権の終わりが始まる分岐点に位置づけられることになるかもしれない。

 また、集団的自衛権については同日、公明党との調整役を担う自民党の高村正彦副総裁が北川一雄副代表との会談で、20日までに閣議決定したいとの意向を伝えたが、公明党はなおも慎重姿勢を崩していない。

 この前日に行われた「安全保障法整備に関する与党協議会」では自衛隊による米艦防護の憲法解釈で激論が交わされている。

 際限のない集団的自衛権行使に歯止めをかけたい公明党は個別自衛権の拡大解釈で対応できるとし、自民党がこれに反論する構図だ。会期末の閣議決定を波乱なく終えるには、自民党の譲歩が必要なところだ。

 ところが同じ日、内閣官房参与の飯島勲氏が講演で公明党が集団的自衛権の行使容認を認めなければ、同党と支持母体「創価学会」の関係で従来「政教分離原則」に反しないとしてきた憲法解釈を政府が見直す可能性を指摘。菅義偉官房長官はこれを直ちに否定したものの、こうした脅しともとれる発言が政権中枢部から発信されたことが少なからず与党協議に影響を及ぼすことになろう。脅しに屈服する形で自民党の主張を飲み込めば、政教一致を自ら認めることになるからだ。公明党の出方に注目したい。

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