2014年6月27日金曜日

驕る安倍自民党


 福島原発の放射能汚染土を保管する中間貯蔵施設の建設をめぐり「最後は金目でしょ」と発言して批判に晒されている石原伸晃環境相は23日、建設候補地の福島県大熊、双葉両町を訪ねて直接謝罪した。

中間貯蔵施設を押し付けられる地元住民の気持ちを思えば、閣僚として恥ずべき発言である。あるいはこの発言が住民の態度を硬化させ、建設計画そのものが宙に浮くことになれば、震災復興は遠退く。謝罪して済む話ではない。辞任こそ免れたが、9月に予定されている内閣改造で交代は確実だ。一時はポスト安倍を伺う存在だったが、これで将来にわたって首相の芽はなくなったとみていい。来年秋の自民党総裁選で再選を目指す安倍晋三首相からすればライバルが一人、消えたことにもなる。

 とはいえ、問われているのは石原氏の政治家としての資質だけではない。多数を背景にした安倍政権そのものの強引な国会運営と慢心が生んだ石原発言でもあるのだ。

 先週末には麻生太郎副総理兼財務相が、「勉強ができない、けんかも弱い、だけど金持ちのセガレ、これが一番(イジメを)やられる」と発言。集団的自衛権容認を訴える中で日本の置かれた安全保障環境をイジメられる子供の立場に置き換えたものらしいが、いかにも突飛な喩えであり、子供たちのイジメを助長しかねない失言だった。与野党伯仲の国会会期中なら間違いなく審議がストップしたはずだ。

 集団的自衛権の行使容認について安倍自民党は海上自衛隊を中東ホルムズ海峡に派遣して機雷掃海をやらせ、さらには国連軍の戦闘行為への参加も可能だとしている。

日本が輸入する原油の8割が通過するホルムズ海峡が機雷で封鎖されれば経済的ダメージは計り知れない。しかし、だからといって、これを許せば自衛隊は世界中どこでも集団的自衛権の行使や国連軍の一員として戦闘行為が可能となる。戦後日本の安全保障戦略を根底から覆すものだ。数に驕り、謙虚さを失った安倍自民党はいずれ国民有権者の鉄槌を喰らうだろう。

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