2013年11月9日土曜日

国家戦略特区の虚仮威しと楽天三木谷社長の化けの皮

 政府は5日、安倍晋三首相肝いりの国家戦略特区法案を閣議決定した。
地域活性化担当相を兼務する新藤義孝総務相は同日の記者会見で「アベノミクスの第三の矢である成長戦略の重要な柱だ」と胸を張った。
医療、教育、農業などの分野で規制緩和を進め、新興企業の進出や海外からの投資を呼び込むのが狙いだ。
成立すれば、首相を議長する「国家戦略特区諮問会議」が特区の基本方針や地域指定などを行う。早ければ年明けにも、東京、大阪など大都市圏で3~5カ所程度を指定。特区の具体的内容については、特区担当相と地方首相、民間業者で構成する「国家戦略特区会議」が作成する「特区計画」に盛り込まれる。
 立派な門構えだが、肝心の規制緩和の中身はどうか。高度医療向けの病床数を増やしたり、公立学校運営の民間委託や農業生産法人の役員要件緩和、あるいは2020年の東京オリンピック開催を意識した賃貸住宅の来日外国人宿泊用宿泊施設への転用、マンション容積率や土地利用、道路使用制限の緩和など、どれ一つとってもパッとしない。法案審議の折りには、これでいったいどれほどの経済効果が見込まれるのか聞いてみたいところだ。
 規制緩和についてはもう一つ、原則解禁された医薬品のインターネット販売について田村憲久厚労相は6日、懸案となっていた副作用リスクが高い23品目について当初、店頭販売開始から4年間としていた審査期間を3年間に短縮することを決め、ネット販売を解禁する方針を示した。来週にも薬事法改正案を国会に提出する。
 また、劇薬指定の5品目については引き続きネット販売は禁止されることになった。それでも市販薬の99パーセントがネット販売可能となる。
 ところが、これを不服とした楽天の三木谷浩史会長兼社長は政府の産業競争力会議の民間議員を辞任するようだ。
 ネット通販で仲介マージンを荒稼ぎする経営者の立場からすれば、粉ミルクから墓石までなんでも売りたい、儲けたい気持ちは解らぬでもないが、ついには人の命や健康まで売り買いするおつもりか。不当な価格表示で消費者を欺くような会社諸共、いずれ自然淘汰されるだろう。守銭奴の延命に手を貸す規制緩和、自由化には一理あっても百害ありだ。

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