2013年11月25日月曜日

秘密法案強行採決を主導する菅義偉官房長官が狙うポスト安倍の身の程知らず

 特定秘密保護法案の成否をめぐる与野党の攻防は今週、ヤマ場を迎える。同法案を審議する衆院国家安全保障特別委員会の与党筆頭理事を務める自民党の中谷元副幹事長は17日のテレビ番組で「参院(の審議)を考えると、今週が時間的に限界だ」と述べた。政府与党は当初の予定通り21日の衆院採決を強行する構えだ
 また、安倍晋三首相は同日、訪問先のラオスで行った記者会見で「できるだけ多くの方々に法案成立に参加、協力していただきたい」と述べた。念頭にあるのは法案成立に前向きな維新、みんなの両党との修正協議だ。政府与党は19日中に修正案をまとめたいとしている。どちらか一方が修正案で合意すれば、安倍首相は強行採決の批判をかわすことができるわけだ。
 維新、みんなの両党にしても、法案成立に協力することで与党入りへの足がかりにしたいとする下心が透けて見える。保守色の強い両党であれば、政権与党に返り咲いた自民党との連携は自然な流れだろう。これも先の衆参両選挙の民意であれば、後悔先にたたず、である。
 もっとも、この法案がこれまで好調に推移してきた安倍内閣のつまずきの第一歩になることは今のうちから指摘しておきたい。
 何しろ、同法案を「今国会で成立させるべきだ」とする国民は12・8パーセントしかいないのだ。しかも、法案の中身については「あまりよく知らない」、「全く知らない」を併せて44・5パーセントに上っている。タカ派的偏向報道著しい産経新聞社とFNN(フジニュースネットワーク)が16、17両日に行った世論調査の結果である。おそらく一般国民レベルの認知度はもっと低いはずだ。
それでどうして今国会の成立を急ぐのか。ましてや安倍首相自らが「経済成長実現国会」と名付けておきながら。かねてより本欄が指摘しているところだが、ここにきて一つ分かったことはこの法案の強行採決を主導しているのが菅義偉官房長官だということ。「経済成長実現国会」となれば、当然ながら麻生太郎財務相や甘利明経済再生担当相が脚光を浴びることになる。ポスト安倍で遅れをとる菅氏がこれを嫌い麻生、甘利はずしを狙って仕掛けた「特別秘密保護法案国会」というのが、政局的な見方である。
菅氏は来年度予算成立後の早い時期、内閣改造を自ら主導して麻生、甘利両氏を政権の中枢から遠ざけるつもりだろう。
野党との修正合意を目指し、場合によっては次期通常国会への先送りも視野に入れる自民党の佐藤勉国対委員長は、こうした菅氏の政局絡みの動きに振り回されて爆発寸前だとか。
そうであれば、身の程知らずの菅氏の野心が近い将来、安倍政権最大の不安定要因になるに違いない。

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