2013年11月14日木曜日

安倍政権が震災復興速化に向けて踏み込んだアクセルと原発再稼働

自民党の東日本大震災復興加速化本部の大島理森本部長は11日、首相官邸に安倍晋三首相を訪ね、原発事故対応への国費投入を柱とする第3次提言を手渡した。
 提言は被災地住民に対して移住の選択肢を示し、これまで政府が掲げてきた全員帰還の政策目標を改めることや震災復興の足枷となってきた賠償、廃炉や除染費用の一部を国が負担するよう求めている。
 主なところは①早期帰還可能地域の除染を優先して帰還者への追加賠償を行う②双葉郡内など原発事故周辺の長期帰還困難の地域住民に移住の選択肢を示し、住宅確保のための賠償を拡充する③被災地住民への賠償は東電が最後の一人まで責任を負う④除染帰還困難地域に建設を予定している放射能汚染灰の中間貯蔵施設は国が費用を負担、管理する⑤国と東電が汚染水対策、廃炉の責任分担を明確にし、東電の廃炉部門の分社化や独立行政法人化を検討する⑥除染基準は空間線量年間1ミリシーベルトを長期目標としながら、新に国際放射線防護委員会(ICRP)が「許容範囲」としている年間10~20ミリシーベルトを帰還の目安に、個人の実際の線量データに基づき除染などの被ばく低減策を講じる。
大島氏は席上「リーダーシップを発揮して取り組んでほしい」と述べ、安倍首相は「政
府としてしっかり受け止めたい。被災地に具体的な復興の絵図を示しながら、生活再生のための努力をしていく」と応じた。より現実に即した対応を促すもので、本欄が度々指摘してきたところでもある。
経営者や株主責任をあいまいにしたまま国費投入となれば、東電救済との批判を浴びそうだが、放射能の恐怖に脅えて暮らす被災地住民をこのまま東電任せに放っておくことは政府の責任放棄にもなる。
また、帰還の目安となる空間線量のハードルを引き下げたことには人命軽視との批判もあろうが、けっしてそうではない。個々人の被爆量と健康被害の因果関係に着目すれば、帰還を躊躇する被災地住民の放射線量への漠とした不安と恐怖を取り除くことにつながるはずだ。
 折しも同日、子どもや妊婦らが受けた放射線の影響を評価する環境省の専門家会議(座長・長滝重信長崎大名誉教授)が初会合を開いている。
 冒頭、井上信治副大臣は「多くの人が放射線への健康不安を抱えており、医学的見地から検討することが重要だ」と述べた。同会議は今後月一回程度のペースで会合を重ね、来年度中に中間報告をまとめる予定だ。
東日本大震災から2年8ヵ月、遅ればせながら安倍政権は復興加速化のアクセルを踏み込む。むろん、今ある危機を克服できないようでは原発の再稼働はない。

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