2013年11月16日土曜日

秘密保護法案で大荒れの誰が名付けた「成長戦略実現国会」

 臨時国会は、早くも後半戦に突入した。当初、安倍晋三首相は「成長戦略実現国会」と意気込み、本欄は「放射能ダダ漏れ対策国会」と名付けたが、そのどちらでもない展開を見せている。焦点となっているのは周知の通り、特定秘密保護法案の扱いだ。
 何がなんでも今国会での成立を目指す自民、公明両党は13日、日本維新の会との修正協議に入った。みんなの党は独自に修正案提出を検討中だ。
 維新は秘密指定の期間限定、秘密の範囲の絞り込み、秘密指定の妥当性をチェックするための第三者機関の設置なども求めている。
 これに対して菅義偉官房長官は同日の記者会見で「恣意的な秘密指定を防ぐ重層的な仕組みを既に設けている」と否定的な見解を示しており、政府与党は週明け21日までに衆院を通過させたいとしている。自公両党での強行採決を想定してのことだろう。
 だが、数に驕った強引な国会運営は、野党はもちろんのこと国民世論がこれを許さない。「成長戦略実現国会」と名付けた安倍首相の信頼は地に墜ち、内閣支持率は急落するにちがいない。
 それにもかかわらず、民主党は対案をまとめて修正協議に応じるという。秘密保護法案の必要性は認めているわけだ。しかし、これでは自民、公明両党の暴走を食い止める野党第一党の役割をはたしたことにはならない。与党ボケにもほどがある。 
 NSC法案についても同様、民主党は最初から腰が退けていた。安倍首相は初代局長に元外務次官の谷内正太郎内閣官房参与(69)の起用を決めたそうだが、気の早い話だ。法案審議は13日から参院の国家安全保障特別員会で始まったばかりである。
 本来ならば、同法案の成立を待って谷内氏が局長に正式就任し、その後に特定保護法案を国会に提出、谷内局長に国会答弁を委ねるのが筋である。それを黙って見過ごす手はなかろう。
 そもそもなぜ、この法案が必要なのか。防衛研究所の小谷賢主任研究官は12日のテレビ番組で「米国や英国は情報が漏れる可能性があるなら日本に提供できない。日本は情報が漏れないように整備して初めてお互いに情報交換しよう、と言える」と述べている。
 安倍首相がこれまで繰り返し述べてきた通りだ。そうであれば外交、防衛、治安の機密保護に関わる現行法を強化することではなぜダメなのか。国民の知る権利を今以上に制約してでも政府が護りたい、あるいは欲する情報とはどんな種類のものかを時間を惜しまず一つずつ積み上げていく作業が必要だ。法案の是非を論じるのはそれからでも遅くない。

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