2013年10月24日木曜日

賃金上昇の「口約束」と秘密保護法案の「口封じ」の臨時国会

 国会は21日から衆院予算委員会で基本質疑が行われ、本格論戦がスタートした。最大野党の民主党は岡田克也前副総理、前原誠司元外相、長妻昭元厚労相、古川元久元国家戦略担当相ら政策通を質問者に揃えた。地に墜ちた党勢挽回のきっかけにしたいところだが、論点が噛み合うまでにはまだ時間がかかりそうだ。
 前回も本欄で触れたが、何より国民が期待する賃金上昇をどう担保するかは、今国会で安倍晋三首相からしっかり言質をとることだ。
「賃金が上がらなかったら、われわれは失敗だ」
先週19日のテレビ番組で甘利明経済再生担当相はこう述べていた。来年4月からの消費税増税で物価は上がるが賃金が上がらなければ、当然ながら安倍首相の責任が問われよう。
もう一つ、特定秘密保護法案について安倍首相は「各国の情報機関との情報の交換、政策における意見の交換を行っていく上では、秘密を厳守することが大前提だ。NSC(国家安全保障会議)の機能を発揮させるには、どうしても必要ではないかと考えている」と答弁、来年1月の発足を目指すNSCとは不可分との認識を示した。
それならば、まずはNSCがはたす役割について、それが日本の安全保障にとって必要不可欠な存在なのかどうかも含め、今国会でしっかり議論してもらいたい。NSCにどんな武器を持たせるかは、その後の話しだ。
 もっとも、秘密保護法案の扱いで動向が注目された公明党が早々白旗を掲げ、早期の成立で足並みを揃えてしまった以上、もはや法案成立を阻む手立てはない。
「知る権利」などの文言を法案に盛り込むよう自民党との調整にあたった同党の大口善徳国対委員長代理は19日のテレビ番組で「丸のみしてもらった」と自画自賛していたが、
わざわざ国民の当然の権利を書き込まなければならないところにこの法案の怖さがある。
 政権にしがみついていたいがための安易な妥協が、いずれ国民から「表現の自由」や「信仰の自由」ですら奪いかねない。何しろ相手は憲法解釈を平気でねじ曲げてしまう自民党である。

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