2013年10月17日木曜日

なぜ急ぐ秘密保護法案の成否で問われる公明党の存在意義

15日召集の臨時国会は安倍晋三首相の所信表明演説を受け、翌日から各党の代表質問が始まった。実のある論戦を期待したいが、会期は12月6日まで53日間しかないというのに、政府与党は30本もの法案成立を目論む。乱暴が過ぎよう。
 とりわけ慎重な審議を求めたいのは、国家機密の情報漏洩に厳罰を科す特定秘密保護法案と国家安全保障会議(日本版NSC)設置法案である。
日本版NSC設置法案については十分な審議日程を確保するため「国家安全保障に関する特別委員会」を設置するそうだ。
一方、秘密保護法案については公明党が、国民の「知る権利」や「表現の自由」、「取材の自由」を担保することや「特定機密」の指定基準を作成する有識者会議の設置を求めている。これに対して自民党は「知る権利への十分な配慮」との修正案を示したものの、「取材の自由」「表現の自由」については憲法に規定されているとして難色を示しており、法案の最終とりまとめに向けて政府与党は最終調整を急ぐ。
両法案の扱いについて自民党の石破茂幹事長は13日のテレビ番組で「一緒にやるべきだ。切り離して(来年の)通常国会に送る必然性があるとは思わない」と述べている。しかしだ。
そもそも自民党は基本的人権を制約し、国家管理の強化のための憲法改正を目指している。ここで公明党が妥協して法案成立に協力すれば、それこそ安倍政権のなし崩し的な解釈改憲を許してしまうことにもなりかねない。さらに言えば、集団的自衛権の容認に向けた解釈改憲と併せ、戦後民主主義の見直しを迫る重要法案である。
安倍首相は集団的自衛権の憲法解釈の変更について、慎重姿勢をみせる公明党に配慮して来年4月、14年度予算案の成立以降に先送りする考えを示している。
秘密保護法案についても同様、成立を急ぐ「必然性」があると思えない。公明党の存在意義が問われる臨時国会である。

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