2012年11月3日土曜日

安倍圧勝の代表質問と参院正常化で見えてきた解散シナリオ

 自民党の安倍晋三総裁は31日に行われた衆院の代表質問で、経済対策への取り組みを理由に解散先延ばしを図る野田佳彦首相に対して「国家国民のために一国も早く信を問うことが最大の経済対策だ」と言ってのけた。
 安倍総裁はまた、懸案となっている特例国債法案の成立や衆院の定数是正、社会制度改革国民会議の早期開催に協力する姿勢を示した上で「これらに積極的に取り組まず、責任を野党に押し付け、政治空白を作ったのはあなた方だ」と厳しく批判した。まさに我が意を得たり、本欄が指摘してきたとおりの発言である。
 ところが野田首相はまったく意に介さず、逃げの答弁に終始。両者初の論戦は安倍総裁の圧勝に終わった。
 ただ、だからといって野田首相を直ちに解散総選挙に追い込めるわけではない。まずは国会審議の土俵に上がらなければ、逆に解散先送りの口実を与えてしまうことになる。
 案の定、代表質問に立った民主党の仙谷由人副代表は自民党が野田首相の所信表明演説を参院が拒否し、衆参で国会対応が異なることを批判。さらに同党の輿石東幹事長は、自民、公明両党が求める衆参両院での予算員会開催について「首相の考え方を基本に議論を展開してもらうのが普通の道筋だ」と述べて背中を向けたままだ。参院自民党の強硬姿勢が、結果として野田政権の延命に手を貸す珍妙な構図である。
 困った自民、公明両党をはじめとする野党各党は、2日に参院本会議を開き、先の国会で問責を受けた野田首相の対応をただすための「緊急質問」を行うことをケジメとして、野田首相の所信表明演説を受け入れる大義名分としたいようだ。
「緊急質問」とは耳慣れないが、中曽根政権下の1985年以来だというからそのはず。国会法ではまさに緊急時の場合、参院が議決すれば、首相は本会議出席を拒めないそうだ。
 ともかく、多少の回り道はあったもののこれで参院が正常化に向かうことになろう。国会審議に協力することで野田政権の延命を危惧する声もあろうが、ゴネて寝込んで手を貸すよりはまだマシだ。腹立たしいが、しょうがない。

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