2012年11月1日木曜日

追いつめられた野田首相の最後の仕事は解散総選挙で政治の混迷に終止符を打つことしかない

臨時国会が始まった。
「いらずらに政局と結び付け、権力闘争に果てしないエネルギーが注がれる政治を繰り返して良いはずがない」
「やみくもに政治空白をつくって、政策に停滞をもたらすことがあってはならない」
 野田佳彦首相は29日に行った衆院の所信表明演説でこんな言葉を並べ立て、野党に審議協力を求めた。参院が野田首相の所信表明演説を拒否したことを当て擦ったもの。確かに言論の府にあるまじき暴挙だが、これを許した野田首相の責任も重大だ。
何より先の通常国会、野田首相が政治生命を賭けて取り組んだ消費税の引き上げは、その野党が政局に結びつけず、審議協力したからこそ実現したもの。この時、野田首相が約束した「近いうち解散」は、いったいどうなってしまったのか。
しかも野田首相は「日本経済の再生が野田内閣の最大の課題だ。道半ばの仕事を投げ出すわけにはいかない」とも述べ、政権維持に意欲さえ見せている。悪あがきが過ぎよう。
28日には、次期衆院選の前哨戦とも言える鹿児島3区の補選で民主党が推薦する国民新党の候補が敗れ、翌29日には党所属の衆院議員2人が離党したため、与党の過半数(240)割れまであと5議席。さらに石原新党の結成にも与党から複数の議員が合流を決めており、このまま野田首相が解散時期を拒み続けたとしても、内閣不信任案が可決されれば万事休すだ。
加えてポスト野田の有力候補の一人である前原誠司国交相にスキャンダル浮上である。秘書の自宅を政治団体の「主たる事務所」として経費計上していたというのだ。
安倍政権下、同様の疑惑で松岡利勝農林水産相が野党に追及されて自殺、後任の赤城徳彦農水相や佐田玄一郎行政改革担当相が辞任に追い込まれたことが思い出される。一部メディアが報じたものだが、事実ならば政治資金規正法に抵触する疑いがある。暴力団との交流で辞任した田中慶秋前法相共々、野田首相の任命責任が問われよう。
もとより政治空白も政策の停滞も許されないが、原因をつくっているのは民主党の党利党略、「近いうち解散」を決断できない野田首相自身にあることは誰の目にも明らかだ。

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