2012年7月15日日曜日

3・11以降の政治状況①


震災・原発事故対応に自民党の経験を活用しろ
東京スポーツ「永田町ワイドショー」2011年3月18日号

東日本巨大地震の発生から一週間が過ぎた。被災者の救援活動は遅々として進んでいない。さらなる地震災害の備えはどうか。福島原発事故の放射能汚染も心配である。政府の危機管理能力が問われるところだ。
16日に行われた救援・復旧対策を検討する政府と与野党の震災対策合同会議で自民党の石破茂成長会長が「震災対策と原発対策の指揮命令系統を分けるべきだ」と指摘。公明党の井上義久幹事長は阪神・淡路大震災を例にあげ、「一元的に権限を与えた特命担当相が必要だ」と主張したのも、政府の危機管理能力への不信からだ。
連立相手の国民新党さえもが、亀井静香代表が「合同会議で資料請求しても、結局は政府対策本部の手を煩わせることになる。船頭多くして船山に登る、ということにもなってしまう。政府の対策本部に野党を入れて挙党一致で対策にあたるべきだ」と合同会議の在り方そのものに異を唱えている。いちいち尤もな話だ。
ところが会議後、民主党の岡田克也幹事長は「合同会議が将来的に復興対策を議論していく場になっていくのではないか」と言っていた。また、民主党はこの日ようやく「復旧・復興特別立法チーム」の初会合を開き、被災者支援の立法措置を「速やか」に講じることを決めたそうだが、事態は一刻を争うというのに呑気なものだ。
一方で自民党は同じ日、石破茂政調会長が記者会見で「いろいろな対策に立法が必要だ。わが党の経験を活用する責務がある」と述べ、「東日本大震災復興基本法案」の今国会提出に言及している。
だったらお互いに張り合うことはなかろう。特命相の下に与野党が災害復興に知恵を出し合い政府提出法案一本にまとめた方が話は早い。
連合の古賀信明会長は15日、岡田氏との会合で「国難と言える大災害で政府与党のリーダーシップが極めて重要だ」と述べ、被災者の生活確保に最優先で取り組むよう求めた。
分かっているとは思うが、ここで言う政権与党のリーダーシップとは為すべき政策を実現する覚悟と決断のことである。

2011.3.16 築地にて
3党合意を急げ!被災者に党派の別はない
東京スポーツ「永田町ワイドショー」2011年3月23日号


 福島原発事故による放射能汚染の拡大はなお予断を許さない状況である。政府の危機管理能力の欠如と東京電力の初動対応の遅れが指摘されるところだ。
「ボクはものすごく原子力に詳しいんだ」
理系出身の菅直人首相は16日、元連合会長の笹森清内閣特別顧問を前にこんな自慢をしていたそうだが、今のところ、東工大卒の学歴は、何の役にも立っていない。それどころか、東日本大震災が発生した翌12日早朝、菅首相は福島原発の視察を強行した。事故処理に追われる現場には邪魔な存在でしかなかったろう。
視察に同行した原子力安全員会の斑目春樹委員長は28日の参院予算員会で「首相が原子力について少し勉強したいということで私が同行した」と爆弾証言している。
つまり菅首相は福島原発の視察で原子力について「少し」勉強しただけで「ものすごく」詳しくなったつもりで、事故処理に口出ししていたわけだ。
本来ならば、首相のリーダーシップは賞賛されるところだろうが、この人の場合は役に立たなくてもいいから、邪魔にならないよう、事態が収まるまでしばらく自宅で布団にくるまり、寝たふりしていてもらえまいか。
もとりより、首相が誰であろうとこの難局は一党一派で乗り切れるものではない。一刻も早く、挙国一致の強力な政権を立ち上げるべきだ。
 対立する与野党にも歩み寄りの兆しが見えてきた。
 民主党の岡田克也幹事長は27日、復興財源を捻出するため菅政権が成長戦略推進の目玉政策として今国会に提出の税制改正関連法に盛り込んだ法人税減税について「減税を復興資金にあてることもあり得る」と述べ、修正の可能性を示唆。
 さらに同党は28日、復興財源を捻出するため公明党が求めていた議員歳費の3割削減を受け入れ、民公接近を印象付けている。
 菅首相の入閣要請を拒否した自民党の谷垣禎一総裁も26日、視察に入った山形県の被災地で復興財源について「与野党が腹を割って相談していくことが必要だ」と述べている。
 早急に3党合意の復旧復興予算を成立させることだ。被災者に党派の別はない。

2011.3.21 築地



求められる挙国一致の政権運営
東京スポーツ「永田町ワイドショー」2011年3月25日号

東日本大震災の被害額は、政府が23日に発表した試算によれば、地震や津波で破壊された道路などの社会資本と住宅、工場などの民間施設を合わせ最大25兆円に達する。ちなみに95年の阪神・淡路大震災は9・6兆円だった。また、今後の経済活動に対する影響額は、11年度だけをとってみても最大2・75兆円、実質GDP(国内純生産)を0・5パーセント押し下げるそうだ。加えて福島原発事故による経済的損失が重くのし掛かる。事態の深刻さを再認識させられよう。
 何を差し置いても菅内閣は来年度予算案と関連法案の成立、災害復旧にかかる財源の確保を急がなければならない。同時に被災地復興の青写真を国民に指し示すことだ。
 もとより、これだけの大仕事を無能な菅首相だけに委ねては、道を誤る。だからこそ、党派を越えた挙国一致の政権運営が求められているのだ。
 自民党は谷垣禎一総裁の入閣を拒否したものの、来年度予算関連法案については公明党と共に子ども手当と高速道路無料化の撤回を条件に容認する姿勢を見せている。
 民主党は高速道路無料化の前段となる4月実施予定だった平日上限2千円の新料金制度は見送る方向だが、子ども手当については22日、3月年度末に期限切れとなる現行の子ども手当法を6ヶ月延長する「つなぎ法案」を国会に提出してしまった。
 同党の岡田克也幹事長はこの日の記者会見で「自民党は全面撤回しろというが、(子ども手当の財源確保のために)年少扶養控除などを廃止した事実を無視している」と撤回拒否の理由を述べている。
 だが、扶養控除分は次年度以降に還付すれば済む。あるいはそのまま復興支援に回したとしても、きっと国民は理解してくれるはずだ。なぜ、細事にこだわるのかまったく理解できない。
 おそらく、党内の小沢グループの動きを気にしてのことだろう。この期におよんでなおもマニフェストに固執し、倒閣の機会をうかがっているようだが情けない。もっとも、自民、公明両党の協力が得られるならば、これも取るに足らない話だ。
原理主義者と呼ばれる岡田氏だが、今、与党の幹事長に求められているのは剛腕である。未曾有の国難を委ねるに足る覚悟が見たい。

2011.3.23 築地にて


目玉政策の見直しで復旧復興財源の確保を
東京スポーツ「永田町ワイドショー」2011年4月1日号


 みんなの党の寺田典城参院議員が3月末で期限切れとなるこども手当を半年間延長する「つなぎ法案」に賛成する意向を示した。
 同党は「こども手当」の撤廃を求めてきた。つなぎ法案が成立しなければ、4月から自公政権時代の児童手当が復活することになるが、寺田氏は「実務を扱う自治体に(制度変更で)負担をかけたくない」と言う。これにより、「つなぎ法案」は、衆院の再可決を待たず、31日の参院本会議で可決成立することになった。合わせて政府は、30日の閣議で審議中の子ども手当法案の取り下げを正式に決めた。同法案は11年度以降、3歳未満の月額意休学を7千円上乗せするものだ。有事であれば、国政の無用な混乱は回避するべきところである。与野党の歩み寄りを評価したい。
 さて、そうなると残る焦点は31日に自然成立する11年度予算の関連法案の扱いだ。
中でも野党が「子ども手当」共々、バラマキ政策と批判し撤回を求めてきた「高速道路の
無料化」や「高校授業料の無償化」、「農家の個別保障」のいわゆる4Kと呼ばれる民主
党の目玉政策の財源を捻出するための税制改正法案と約40兆円の赤字国債を発行を裏付
ける特例公社債法案の行方が気になるところだ。
 自民党は逢沢一郎国対委員長が29日の記者会見で「4Kを支える特例公債法案は認め
られない。これに答えが出るなら、新たなステージに立てるかもしれない」と述べ、4K
を撤回すれば賛成に転じる姿勢を見せている。
 これに対して民主党は興石東参院議員会長が「政権交代の最大の目玉は4Kだ。ことご
とくダメでしたと言えるわけがない」と異を唱えている。
しかしながら、今、最優先すべきは10兆円規模とも言われる復旧復興財源の確保だ。
党のメンツにこだわっている場合ではなかろう。開いた口が塞がらないとはこのことだ。つなぎ法案の賛成に転じた寺田氏の爪の垢でも煎じて飲んでみてはどうか。
「どの財源をあてるかを与野党を越えて議論、もっとも重要なものに振り向ける」
 菅首相は29日の参院予算員会でこう述べ、目玉政策の大胆な見直しを行うとの姿勢を示している。腰砕けに終わらず、有言実行を願うばかりだ。

2011.3.30 築地にて
 

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