2014年9月13日土曜日

年内解散説はゲスの発想


 安倍晋三首相が南西アジア三カ国歴訪を終えて8日、帰国した。成果らしきものを一つだけあげるとすれば、2015年に実施される国連安全保障理事会の非常任理事国選挙でライバルとなるはずだったバングラデシュが出馬辞退を明言、日本支持を取り付けたことくらいか。このため安倍首相はバングラデシュに対して最大6000億円もの経済支援を行うが、だからといって日本の非常任理事国入りが決まったわけではない。言うなれば捨て銭である。

さらに安倍首相は将来の常任理事国入りを目指し、国連改革に意欲を見せているそうだが、何より日本が優先すべきは経済再生と外交で言えば、中韓両国との関係改善だ。

第2次安倍改造内閣の発足が高い支持率を得て国民に迎えられたのは、その期待の表れであろう。各社数字にバラつきがあり、最も低い毎日新聞は前回調査と同じ47%にとどまったが、一方で読売新聞は13ポイント増の64%を記録している。数字の多寡はともかく、改造効果を否定する材料は見当たらない。

一部政治評論家や永田町雀どもが訳知りにこの機に乗じた年内解散の可能性を指摘しているが、菅義偉官房長官は7日のテレビ番組で「第2次内閣がスタートしたばかりだ。やらなければならない課題がたくさんあり、まったく解散は考えていない」とこれを明確に否定している。

 確かに今、総選挙となれば自民党の大勝は間違いないところだが、安倍首相が山積する政治課題を捨て置き、党利党略優先で解散総選挙に打って出るとの見立ては、ゲスの発想であろう。

 折しも内閣府は8日に発表した4~6月期の国内総生産(GDP、季節調整済み)の改定値を発表したが、実質成長率は年率換算で7・1%減となり、二四半期ぶりのマイナス成長となっている。下落幅はリーマン・ショック後の09年1~3月期(年率15・0%)以来の大きさだから、事態は深刻だ。

 それでも安倍首相は、来年10月からの消費税率10%引き上げを決断するのかどうか。選挙に政治エネルギーを注いでいる場合ではなかろう。

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