2014年7月24日木曜日

安倍内閣が不人気の理由


 内閣支持率の下落が止まらない。産経新聞とFNN(フジニュースネットワーク)が19、20両日に行った合同調査は政権発足後、最低の45・6%にまで落ち込む一方、不支持は40・2パーセントでこれも初めて4割を超える大台に達してしまった。

歴代内閣との比較では、発足から1年半を過ぎて悪くはない数字だが、注目しておきたいのは支持、不支持の差がわずかに5・4パーセントしかないことだ。支持には消極的な選択肢が含まれるが、不支持は積極的な意思表示である。つまり、国民有権者の4割以上が安倍内閣に背を向け、不信任を突き付けているわけだ。このまま不支持が50パーセントを越えるようなことになれば、来年秋の自民党総裁選に向け、ポスト安倍の動きが表面化してくるはず。

安倍内閣が不人気な理由は同調査が示す通り、はっきりしている。景気・経済対策を39・4パーセントが「評価する」のに対して「評価しない」は47・1パーセントに上り、前回調査から逆転。集団的自衛権の行使容認を閣議決定したことに対しては「評価しない」が56・0パーセントで「評価する」の35・3パーセントを大きく上回った。しかも、憲法解釈の変更について85・7パーセントが政府の説明不足を指摘しているのである。

集団的自衛権の行使容認については、やはりペルシャ湾などシーレンの機雷掃海活動がネックであろう。小野寺五典防衛相は20日のテレビ番組で「自衛隊を出す立場からしたら、相当、その地域が安定していなければできな。かなり限定的な場面だ」として「単なる経済的理由や(他国から)頼まれたからするということではない。わが国が攻撃されたときと同じような要件だ」との判断基準を示した。

安定した地域とは、自衛隊の活動地域が休戦か紛争が終結して非戦闘状態であることを指すのが一般的だ。しかし、これだとそれこそ自衛隊の派遣は「かなり限定される」わけだからこれまで通り、国際社会からの要請に応じてその都度、特措法で対応すれば済む話だ。ところが小野寺防衛相は一方で「安定した地域」とは真逆とも言える「我が国が攻撃されたときと同じような要件」をあげて現行憲法下、自衛隊の海外での戦闘行為が可能だと主張するのだ。

遠くペルシャ湾で日本が攻撃される事態とはいったいいかなるものか、政府のこれまでの説明ではイメージすら浮かばない。そもそも日本は国際紛争を解決する手段としての武力行使を放棄している。必要ならば、やはり憲法改正で国民に是非を問うことだ。もっとも、人心離れてしまった安倍内閣には荷が重かろう。

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