2013年4月13日土曜日

安倍首相の「衣の下」を批判する海江田民主代表の「コートの下」

 尖閣諸島周辺海域の漁業権をめぐり、日本と台湾は10日、日本の排他的経済水域(EZZ)で台湾漁船の自由操業を認める漁業協定を結んだ。事実上、領有権問題を棚上げするものだ。
菅義偉官房長官は記者会見で「尖閣諸島はわが国固有の領土だから、棚上げすべき問題は存在しない」と述べていたが、建前に過ぎない。
一部メディアは尖閣諸島の領有権を共に主張してきた中台連携の分断する日本政府の狙いを指摘するが、たとえそうであったとしても、もはや日中間に領有権問題が「存在しない」との原則論は通用しない。むしろに日本政府がこれを認め、東シナ海の海洋資源を等しく分かち合う関係を築くことで、領土問題の平和的解決の道筋が見えてこよう。
 17日には安倍晋三首相と民主党の海江田万里代表らの党首討論が政権発足後初めて行われる予定だが、尖閣問題は安保外交のメインテーマの一つだ。ぜひ、安倍首相の対中政策を質していただきたい。
安全外交についてはもう一つ、野党各党の憲法改正に対するスタンスも興味あるところだ。周知のとおり、夏の参院選で争点化を目論む自民党の憲法改正草案は第9条の改正で自衛隊を国防軍にするなどタカ派チックな色合いに染められている。日本維新の会はもっと過激に“軍事国家”を目指す政党だ。
 これに対して環境権など新たな条文を憲法に書き加えるべきだと主張してきた公明党は、
衆参の憲法調査会の議論にゲタを預け、憲法改正が参院選の争点になることに「国会議員は単一の争点で選ぶものではない」(山口那津男代表)と及び腰である。
 みんなの党も同様、「政治改革や公務員制度改革が先であり、国民が身につまされている生活、経済、福祉の問題に注力していくのが党の立場だ」(江田憲司幹事長)として、改憲論議から目を逸らす。
 民主党にいたっては、党綱領に「国民主権、基本的人権の尊重、平和主義の基本精神を大切にしながら、象徴天皇制のもと、真の立憲主義を確立するために、国民とともに未来志向の憲法を構想していく」とあるが、何が言いたいのか意味不明。海江田万里代表は安倍首相のことを「衣の下に鎧を着ている」と批判しているそうだが、丸裸のスッポンポンよりはまだマシ。安倍首相が憲法改正を参院選の争点に掲げるならば、野党は堂々、論戦を挑むことだ。

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