2013年4月10日水曜日

安倍自民党の教育再生実行本部が打ち出した理系人間改造計画の噴飯

 自民党教育再生実行本部の遠藤利明本部長は8日、首相官邸に安倍晋三首相を訪ね教育改革の具体策を提言した。同本部は安倍総裁直属の機関として昨年秋以降、「基本政策」「いじめ問題対策」「教科書検定・採択改革」「大学教育の強化」「教育委員会制度改革」の5つの分科会を設置して議論を重ねてきた。「グローバル人材育成のための世界最高水準の学力の実現」を前面に掲げた提言は英語教育の抜本改革と技術立国を支える理数教育の刷新、国家戦略としての情報通信技術(ICT)教育を「教育再生3本の矢」と位置づけている。
 具体的には大学入試や卒業要件にTOEFLなど英語能力試験を取り入れることや私立文系を含めた入試で理数科目を必須化する。また、小学校の理科の授業は専門教師が担当、小中高の児童生徒に情報端末(タブレットPC)を無償配布するなど。〆て1兆円の集中投資となる。今夏の参院選で自民党は目玉政策に掲げる予定だ。
日本中、理系人間で溢れそうな提言である。それで世界最高水準の学力が身につけられるなら安いものだが、誰もが技術開発、研究職につけるわけではないし、興味関心のない理科を強制された文系人間はますます理科嫌いとなり、子供たちはPCゲームに夢中で勉強どころではなかろう。教育現場の実態を多少なりともかじっていれば、結果はやる前から見えている。
 人には好き嫌い、得手不得手がある。それを十把一括りにして国家権力が求める人材に仕立て上げることを教育とは呼ばない。もっと言えば、大きなお世話だ。大切なことは子供の個性、才能を伸ばし生かす教育環境とこれを受け入れる社会の多様性を担保することだ。何より今現在、分野はなんであれ大学は出たけれども働き口が見つからないというのに、理系もへたくれもなかろう。
 大阪市では橋下徹市長が学力向上のための目玉政策としてこの4月から導入された土曜授業を実際に実施する市立小中学校が429校のうち5校にとどまっている。家庭に週休2日制が定着し、教員の過重労働が重なる現実を無視した制度改革がうまく機能するわけがない。子供が親の思い通りに育たないのは世の常。ましてや思い付きの教育改革や押し付けの教育なぞクソ食らえ、であろう。

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