2015年2月23日月曜日

西川農相の辞任で終わらない安倍首相の任命責任

「政治資金規正法上は問題ないと承知している。農協改革をはじめとする諸課題について引き続き職務にまい進してもらいたい」
西川公也農水相が砂糖業界から100万円の献金を受けていた問題で安倍晋三首相は17日、参院本会議でこう述べた。
 しかしながら、事の詳細を知れば西川農水相が100万円を受け取ったのは2013年7月。TPP交渉に日本が初参加する直前のことだ。砂糖はTPP交渉で関税撤廃の例外とするよう日本が求める重要5項目の一つで、業界からは政府与党に対して保護を求める声があがっていた。当時の西川氏は自民党TPP対策委員長で農水相就任後も一貫して交渉の関与しており、見返りを期待しての献金だった可能性は否定できない。
 「違法性は全くない献金であるが、農水相としていささかの疑念も持たれることのないようにするため返金した」
西川氏は同日午前、菅義偉官房長官にこう釈明しているが、疑惑は「いささか」どころか、まさに自民党族議員と業界団体の癒着そのもの。
民主党は「返せばいいということではない。任命責任を含めてしっかりと追及する」(羽田雄一郎参院幹事長)、「事実だとすれば環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)交渉の駆け引きでお金が動いたととられても仕方ない」(細野豪志政調会長)との見解を示し、安倍首相の任命責任も含め徹底追及する構えだ。
 砂糖業界と政界との癒着で思い出されるのは佐藤政権下の1966年に起きた共和製糖事件である。宮崎県の細川コンビナートの建設をめぐる不正融資事件に端を発し、共和製糖グループから3800万円の政治献金を受け取った重正政之農水相の秘書官が逮捕されている。
 西川農水相をめぐる今回の疑惑でも農水省の「さとうきび等安定生産体制緊急確立事業」の13億円に上る補助金にまつわる政治献金との指摘もある。掘り起こせば意外に深い、政官業の一大疑獄に発展することになるかもしれない。

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