2014年12月18日木曜日

憲政史上に汚点を残した安倍流「大義なき俺の解散」


 戦い終わった翌15日、安倍晋三首相に近い読売、産経の2紙は「自公圧勝」の大見出で選挙結果を伝えている。自民、公明両党を合わせた獲得数は325議席。確かに与党は議員定数の3分の2となる317議席を上回る議席を得た。

 しかしながらこの数字は解散前議席と同じである。それならば、わざわざリスクを冒してまで解散することはなかった。しかも、自民、公明両党それぞれの議席を見れば、圧勝を印象づけたのは4議席を上乗せした公明党である。逆に自民党は4議席を減らし、その分だけ公明党は政権内の発言力を増した。消費税率引き上げに伴う軽減税率の導入を訴えたことが公明党の議席増につながったのか。あるいは集団的自衛権の際限なき行使に突き進む安倍晋三首相に対するブレーキ役を期待してのことだろう。いずれにせよ、国民有権者の不安、不信の表れとみるべき自民党の議席減である。この結果に安倍首相が胸を張り、勝ち誇っているとすれば勘違いも甚だしい。

 もっと言えば、安倍首相は投票率が戦後最低を記録したことを謙虚に受け止めるべきだ。52%の投票率は過去最低だった前回自民党が政権に返り咲いた12年の衆院選より7ポイント下落。投票率1%で100万票、ざっと700万人が今回、棄権したことになる。 

ちなみに現行選挙制度下、民主党が308議席を得て政権を奪取した09年の衆院選の得票率は過去最高の69%を記録。つまりは獲得した議席数は同じであっても一議席の重みは格段に軽くなってしまったのだ。

 そこで頭を過るのは1980年、西側諸国がソ連のアフガニスタン侵攻に抗議してボイコットしたモスクワ五輪である。興味半減、価値半減のメダル争いにも似た選挙戦ではなかったかと思うのだ。

 むろん、「勝てば官軍」と開き直ることはできる。投票を棄権した有権者や野党の対応にも責任の一端はあろうが、それだけの理由でこれほどまでに投票率が下落するはずがない。

 何より「大義なき解散」に打って出たのは安倍首相である。その上、野党の選挙準備には十分な時間が与えないままの総選挙となれば、その時点で投票率の低下は誰の目にも明らかだった。

安倍首相はまさに「勝てば官軍」の解散総選挙に打って出たのだが、憲政史上に汚点を残すことにもなろう「自公圧勝」である。いずれそのツケを国民有権者が払わされることになる。

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