2014年11月22日土曜日

「俺の解散」安倍不信任のもう一つの勝敗ライン


 安倍晋三首相は次期衆院選で自民、公明両党合わせた獲得議席数が過半数を割れば退陣するとのこと。消費税率引き上げの延期と解散総選挙の断行を表明した18日の記者会見で勝敗ラインを質され「過半数を得られなければアベノミクスが否定されたことになるわけだから」と答えている。

 だが、そうじゃない。自公で過半数を割れば、安倍政権ではなく自公連立政権が否定されたことになるわけだから、安倍首相が退陣するのは当然のことで、わざわざ言及するまでもないことだ。

 しかも首相官邸、つまり菅義偉人官房長官は安倍首相が年内解散を強く意識し始めた10月、密かに選挙情勢を調査、分析。公明党現有31議席、自民党単独でも270議席以上、併せて300議席は固いと踏んでの解散総選挙である。

 すると、周知のとおり衆院の定数は区割り変更で小選挙区は300から295となり比例を併せて475。過半数は238だから、自民党は207議席を取ればいいわけだ。換言すれば自民党の現有議席は294から差引き87議席を減しても過半数に届く計算になる。それからすれば、安倍首相が自らに課した勝敗ラインはかなり甘々なのである。

 加えて安倍首相は未だ40パーセント後半の高い支持率を維持し、なおかつ野党の選挙協力が進まない中、資金力で圧倒する自民、公明両党が今回の選挙で過半数割れするなどあり得ないと確信しているに違いない。

 そこで今回の選挙、自公の過半数確保を前提にしてみれば、政治のプロとして注目しておきたいのは自民党の獲得議席数ではなく負け数である。

 首相官邸の弾いた算盤ではMAX24議席減に止まるはずだが、それ以上に失う議席が積み重なれば自民党内の風当たりは強くなるはず。だが、自民党の調査では10月時点、獲得数は最低でも254議席、負け数40議席を上回れば安倍首相の退陣も視野に入る。そうならなくとも谷垣禎一幹事長の辞任は必至で政権の求心力低下は免れない。では、負け数が24~40議席の間であれば、どうなるのか。そこは一重に国民世論の動向を横目に見ながら、ポスト安倍に手を上げる挑戦者の出現を待つしかない。

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