2014年11月11日火曜日

派遣法審議で見せ場を失った民主党の自壊


 国会は5日、与野党唯一の対決法案とも言える労働者派遣法改正案が衆院厚生労働委員会でようやく実質審議入りした。今月30日に会期末を迎える窮屈な審議日程の中、与党は会期内成立を目指す。自民、公明両党はこの日行われた幹事長会談で来週中の衆院通過を確認した。

 とはいえ法案成立を優先するあまり、政府与党が強行採決を連発して国会論戦をおろそかにするようでは国民世論の反発を招く。

 野党にしても女性閣僚2人が辞任した政府与党の「政治とカネ」の疑惑追及を理由にした審議拒否、採決の先延ばし戦術は国民の理解を得られまい。

 とりわけ民主党には今国会、労働者派遣法改正をめぐる政府与党との論戦は最大の見せ場となるはずだったが、もはや手遅れ。

 同改正案について安倍政権は表向き、国民生活の多様化と労働環境の改善に向けた雇用制度改革の一貫と位置づけるが、法案の中身を見ればさにあらず。現行3年間となっている派遣労働者の受け入れ期間の上限を撤廃して安くて使い勝手のいい派遣労働者の固定化、拡大を促すものだ。

 アベノミクスの経済成長戦略は企業業績が拡大すれば、賃金給料が上がるとの触れ込みだったが、実のところ企業が得するだけの労働派遣法の改正に過ぎないことが、法人税減税との抱き合わせで考えてみればよりはっきり見えてこよう。

あるいは民主党がこの問題を消費税率引上げの是非と併せ、安倍政権の経済政策を徹底追及していれば多くの国民は拍手喝采したに違いないが、「政治とカネ」を深追いしてこのテイタラクである。

 4日には維新、みんな、生活の野党3党が消費税率10%引き上げを延期する「消費税率凍結法案」を衆院に共同提出した。法案には最引き上げを認める指標として賃金上昇率や失業率を加味するよう求め、また、国会議員の定数削減や歳費削減など「身を切る改革」の実行を明記している。

 どうやら民主党は国民世論から、そして野党共闘からも完全に取り残されてしまったようだ。

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