2014年10月2日木曜日

野党の存在意義が問われる臨時国会


第187臨時国会の幕が開いた。多くの国民にとって最大の関心事はやはり日本経済の先行きであろうか。

安倍晋三首相は29日、衆参両院本会議の所信表明で「(今年4月の)消費税率引上げや燃料価格の高騰、この夏の天候不順などによる景気の影響にも慎重に目配りしていくことが必要」との現状認識を示した上で「景気回復の実感を全国津々浦々にまで届けることが、安倍内閣の使命だ」と述べた。

経済最優先の政権運営を強調するのだが、何を今さらのアベノミクスである。

本欄はかねてよりアベノミクスの成否を賃金給料の上昇に求めてきたが、12年と13年の経済指標を比較すれば答えははっきりしている。企業利益は48兆円から60兆円に23%も増えているのに、サラリーマンの世帯収入は実質0・3%減っているのだ。しかも安倍首相が指摘するまでもなく4月の消費税率引上げやアベノミクスの円安誘導による燃料費や輸入食品などの高騰が国民の暮らしを直撃している。

地方創生の新たな経済政策を打ち出すにしても非は非としてアベノミクスの中間総括をしていい時期だ。野党の徹底追及を期待したい。

とはいえ、野党にとっても悩ましいのは年末に迫る消費税率10%再引き上げ判断への対応である。

安倍首相は所信表明で言及を避けたが、先送りはアベノミクスの経済成長戦略の失敗を自ら認めたことになるから、景気の先行きに多少の不安があったとしても再引上げを決断せざるを得ない。

これに対して野党は再引き上げ反対で安倍政権を揺さぶりたいところだが、15年10月の消費税率引上げは民主党政権下、民自公の3党合意に基づく国会の圧倒的多数で決めたもの。これをチャラにするとなれば、財政再建や社会保障改革をどうするのか。野党の存在意義もまた問われる臨時国会である。

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