2014年5月19日月曜日

ミスターの打撃論に学ぶ集団的自衛権の行使


 集団的自衛権の行使容認に向けた本格論戦がスタートする。叩き台となるのは15日午後、安倍晋三首相に提出する政府の有識者会議「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会(安保法制懇)」の報告書だ。

 報告書は①船舶臨検、米艦等への攻撃排除②武力攻撃を受けた米国の支援③日本船舶の安全航行を確保するための機雷除去④国連決議に基づく軍事行動⑤領海内の外国潜水艦の排除⑥領海内の民間武装集団の不法行為への対応。以上、六つの事例をあげて憲法解釈の変更や法整備を訴えている。

 安保法制懇は2008年にも同様の報告をまとめており、この時には公海上の米艦防護、米国に向けて発射された弾道弾ミサイルの迎撃、国際的平和維持活動の武器使用と他国部隊の後方支援の4類型を掲げていた。今回はその改訂版といったところだが、尖閣列島周辺域での中国の挑発行為を強く意識したものになっている。

 ただし、報告書は「これらの事例のみを合憲、可能とすべきとの趣旨ではない」とのことわり書きが付く。

「そもそも憲法には集団的自衛権についての明文がない」、つまりは国土、国民の生命財産を守る手段としての武力行使に個別も集団もないだろう、というのが安保懇の考えだ。

 歴代内閣がこれまで憲法9条に基づき厳しく制約してきた自衛隊の武力行使に新たなガイドラインを設ける試みだ。

 ただ、公明党は山口那津男代表が13日の記者会見で「連立政権の合意に書いていないテーマに政治的エネルギーを注ぐのは国民が期待していない。あまり乱暴なことをすれば、与党の信頼関係を崩すことになる」と述べ、連立離脱をチラつかせている。

また、安保法制懇が示した事例について言えば、米国の同盟関係にあるフィリピンが中国の攻撃を受けた場合、米軍支援のための自衛隊出動は可能になる。しかしながら、友達の友達はみな友達だとなれば、日本は地球規模で戦争に巻き込まれることになりかねない。ここはやはり、地理的範囲も含め自衛隊の海外活動に何らかの線引きが必要であろう。

 解り易く言えば、「来た球は打つ」の長嶋茂雄流打撃論だ。ホームベースを挟んで左右を囲むバッターボックスの白線上に足指一つとどめていれば、どんな球が飛んで来ようとバットを振っても構わないが、塁上の走者を守るために投手の牽制球まで打つことはなかろう。

 

 

 

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