2014年3月8日土曜日

中学生からダメ出しされたアベノミクスの5段階評価

14年度予算案が3日、参院予算委員会で実質審議入りした。答弁に立った安倍晋三首相は新年度の経済見通しについて「国内総生産(名目GDP)500兆円も視野に入ってきた」と述べ、08年のリーマン・ショック直前の水準に回復するとの見通しを示した。
ちなみに13年度の名目GDP見込みは484兆円2千億円、リーマン・ショック前の07年度が513兆円だった。実現すれば7年ぶりとなるから、アベノミクスの成果を誇示したい気持ちだろう。
ところが意外にも安倍首相は「景気回復を実感していると答える方の数は限られている。その事実をしっかり受け止めながら、一日も早く全国津々浦々に景気回復の実感を届けたい」と弱気な一面を覗かせるのだ。
加えて国民の最大関心事とも言える“賃上げ”についても「経済界から賃上げに向けた動きが出ており、中小企業を含めて広がることを期待したい。有効求人倍率は1.04倍になり、ある程度の待遇をしなければ人材が集まらない状況になりはじめ、やっと賃金は上昇していく状況ができた」と答弁するに止まり歯切れが悪い。
ちょっと待って欲しい。国民が消費税率の引き上げを嫌々ながらも受け入れ、生活を直撃する物価の上昇をも耐え忍んでいるのは、それに見合った雇用の安定と賃金の上昇を安倍首相が実現できると信じているからだ。それを今さら“意欲”や“期待”で語ってもらっては困るのである。
もとより、賃上げは個別企業の経営環境、労使の交渉で決まるもので、政府がとやかく口出しするのは筋違いの話しだ。しかしながら、誰が頼んだわけではなく言い出したのは安倍首相自身である。
ある私立中の教師が、定期考査でアベノミクスの「3本の矢」をA~Eの5段階で評価するよう求めたところ、景気下支えのために放った1本目の財政出動が「A」、インフレと円安を誘導した2本目の「異次元の金融緩和」が「B」、そして3本目、昨年秋の臨時国会から続く企業競争力強化のための税制改正や規制緩和を「E」と答えた生徒がいたそうだ。
この生徒の採点結果はともかく、今春以降、賃上げを実現することができなければ、少なくともアベノミクスに“赤点”が付くことだけは間違いない。 

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