2013年12月19日木曜日

対アセアン積極平和外交は安倍首相の妄想と独善

「ビジョン、アイデンティティー、そして未来を分かち合う仲間、平和と繁栄とよりよい暮らし、そして心と心の通い合うパートナー。今から40年後、私たちの子や孫もアセアン(東南アジア諸国連合)と日本の間柄とは、確かにそのようなものだと深くうなずくに違いない」
 安倍晋三首相は先週13日夜、日本・アセアン特別首脳会議出席のため来日した各国首脳を招いた夕食会でこんなスピーチをしたそうだ。
 また、各国首脳との個別会談ではミャンマーの鉄道網改修や経済特区のインフラ整備などに総額632億円、ベトナムの高速道路網整備などに約960億円、カンボジアには病院整備などに約100億円の資金援助を含め今後5年間に2兆円の対アセアンへの政府開発援助(ODA)を約束している。
 一方で安倍首相は会議期間中、中国の防空識別圏設定を批判し、各国首脳に対して対中脅威論への同調を求めたが、足並み揃わず不調に終わってしまった。
 高度経済成長期、ODAは日本外交の有力な武器となってきたが、安倍首相が目論む中国包囲網にアセアン諸国を巻き込むほどの効果はもはや期待できない。
 安倍首相のスピーチを意訳すれば、ビジョンとは「妄想」、アイデンティティーは「独善」のことを指す。そしてアセアン諸国が分かち合うのは日本の「ODA」ということになろうか。
 そもそも、アセアン諸国からすれば日本は中国や北朝鮮、韓国と同様、植民地支配の加害国である。さらに言えば、今の中国が脅威であるなら、これを理由にアセアン諸国への軍事的プレゼンスを高めようとする日本もまた脅威であろう。旗振り役の安倍首相が狂信的な右翼思想の持ち主であればなおさらだ。
 安倍首相は積極平和主義と呼んでいるが、主義主張を押し付けられるアセアン諸国の人々にとっては迷惑な話だろう。カネで買えない人の心と信用である。
 
 

0 件のコメント:

コメントを投稿