2012年10月26日金曜日

政局より政策優先で「年内解散」手形に裏書きした前原国家戦略相の思惑

  政府・民主党は22日、臨時国会を29日に召集し、会期を11月30日までの33日間とする方針を決めた。自民、公明両党が求める年内解散の確約を拒否したままの見切り発車である。それでどうやって政治を前に進めることができるのか。
野田佳彦首相は先週19日に行われた自民、公明両党との党首会談で懸案となっている衆院選挙制度改革について「0増5減」の先行実施に言及、公債特例法案については予算案との一体処理のルールづくりを呼びかけている。かねて本欄で指摘したとおりの展開だ。
政権復帰が見えてきた自公両党が乗れない話ではない。党首会談は物別れに終わったが、望みはまだある。ただし、乗り越えるべきハードルはなおも高い。
自民党の石破茂幹事長は20日の講演で「13年度予算編成はしないとか、懸案の処理後に速やかに解散するとか、言い方はいろいろある」と述べ、再度の党首会談で野田首相が「近いうち」解散の時期をより具体的に示すよう促している。
堂々めぐりのやり取りだが、翌日には前原誠司国家戦略相が「年明けに解散したら“近いうち”ではない。年内に解散しないことはないと思う。首相は誠実な人だから、自分の言ったことには責任を持たれる」と述べている。
民主党内最大グループを率いる前原氏の、しかも重要閣僚の発言であれば、いわば野田首相振り出しの「年内解散」手形を裏書きしたようなもの。自公両党にとっては頼もしい助っ人だ。さらに言えば、前原氏と石破氏が党派を越えた信頼関係で強く結ばれていることは周知の通り。共に保守勢力の再結集を目指す政界再編論者であり、政局優先の政治を嫌う点でも共通している。あるいはこの2人が水面下で呼応しての発言であれば、臨時国会前の決着も有り得よう。
いずれにせよ野田首相が本気で懸案解決に自公の協力を得たいのであれば、せめてもう半歩だけ「近いうち」解散に踏み込む必要がある。
朝日新聞が行った直近の世論調査で野田内閣の支持率は過去最低の18パーセントにまで落ち込んでしまった。これ以上の政権延命は許されないと知れ。

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