2013年12月5日木曜日

テロより怖い秘密保護法案と安倍ー石破コンビに汚され歪められた保守政治

自民党の石破茂幹事長が自身のブログ(11月29日付)で特定秘密保護法案に反対するデモなどの抗議行動を「単なる絶叫戦術はテロ行為とその本質においてあまり変わらない」と断じた。また、1日の講演では「人が恐怖を感じるような音で、絶対にこれは許さない、と訴えることが、本当に民主主義にとって正しいことなのか」とも述べている。
まさにこれこそが前回、本欄が指摘したとおり、衆参両院で絶対安定多数を得た安倍政権の驕りであり、エセ保守政治家の増長に他ならない。
国民の声に謙虚に耳を傾けることこそが保守政治の神髄であり、戦後民主主義の拠り所でもあろう。それを五月蠅いと感じるのは石破氏が聞く耳持たないからであって、それをテロと同質に論じることに国民はむしろ民主主義を否定する独裁者の恐怖を感じるのである。
石破氏だけではない。朝日新聞社が行った直近の世論調査で国民の50パーセントが特定秘密保護法案に反対、継続審議を求める声は56パーセントに達している。おそらく、審議を尽くすほどにこの法案のいかさま具合が国民に知れ渡り、反対の声が今以上に勢いを増すことになろう。
そうであればここはやはり、国民世論に従い、継続審議にすることが権力を握る者の分別というもの。
ところがエセ保守政治家は、こんな民主主義のイロハすらも理解せずに、法案成立にひた走る。仮に継続審議となれば、強行突破を主導した菅義偉官房長官の責任問題が浮上することになるからだ。さらに年明け通常国会、勢いを増す国民世論に抗しきれずに最悪、廃案に追い込まれてしまえば、安倍内閣そのものがもたなくなるから退くに退けない。詰まるところ国家国民のことよりも我が身大事のエセ保守政治家たる所以である。
ついでにいえば、安倍晋三首相が国民世論の反対を押しきってまで強行採決にこだわるのは、60年安保改定を強行した祖父・岸信介元首相への憧れもある。きっと今頃、国会周辺をデモ隊に包囲され、決死の覚悟で安保改定を成し遂げた祖父の姿を自らに重ね合わせて悦に入っていることだろう。しかも、それが保守政治家のあるべき姿だと勘違いしているのだからなおさら、この政権は始末が悪いのである。

2013年11月30日土曜日

ねじれ国会解消で増長するエセ保守政治家と秘密保護法案の強行採決

衆院の強行採決から一夜明けた27日、特別秘密保護法案をめぐる論戦の舞台は参院に移った。安倍晋三首相はこの日行われた本会議の答弁で特定秘密が恣意的に運用され、報道の自由、国民の知る権利を侵しかねないとする同法案への懸念について「専門的な識見を有する有識者を適性に人選し、その意見を踏まえ実効性のある運用基準を作成することにより、本法案の適正な運用が確保される」と従来通りの主張を繰り返した。
はたしてそれで国民の不安が払拭できるものかどうか。有識者の人選はもちろんのこと、法をどう解釈し、どう適用するかを判断するのが時の権力であれば、客観性を担保することはできない。安倍首相が憲法解釈を恣意的にねじ曲げ、集団的自衛権の行使が可能だと主張しているのが、何よりの証左だ。
 安倍首相はこの前日、記者団を前に「国民の安全を守るための法律だ。参院審議を通じて国民の不安を払拭していくよう努めたい」と述べていた。また同じ日、自らが会長を務める超党派議連「創生日本」の研修会では「誇りある日本を取り戻すことはまだスタートしたばかりだ」とも述べている。参加者は保守政治家を標榜する国会議員ら約400人。その一人、安倍ガールズの稲田朋美行革担当相が「戦後レジュームからの脱却を現実にしたい」と訴えていた。
特定秘密法案はその第一歩というわけだ。どうやらこの人たちは戦後日本の民主主義を否定することが保守政治家の使命のごとく、大きな勘違いをしているようだ。
「気狂いに刃物」のたとえもある。包丁も使い方次第で凶器となろう。
 今国会、会期末は12月6日まで、実質審議時間は残り少ない。安倍政権はどさくさ紛れに、高校授業料の無償化制度を見直し、所得制限の導入を決めた。農家の減反政策も見直される。来年度からは消費増税に加え、国民年金や介護保険、医療費などの社会保障費の負担増も待ったなしだが、この分では年明け通常国会も数にモノを言わせた強引な政権運営が続きそうだ。
 衆参ねじれ解消で政治の安定と景気回復を望んだ多くの国民はきっと裏切られた思いだろう。

2013年11月28日木曜日

中国の防空識別圏設定で試される鳴り物入りの日本版NSC

 今国会、安倍晋三首相が最優先課題と位置付ける国家安全保障会議(日本版NSC)創設関連法案が、野党第一党の民主党も賛成して27日の参院本会議で可決成立する。
 日本版NSCは外交・安全保障政策の司令塔として、首相の下に官房長官、外相、防衛相の「関係大臣会合」を常設し、事務局として内閣官房に「国家安全保障局(安保局)」を置く。初代局長には安倍首相の「飲み仲間」で元外務事務次官の谷内正太郎内閣官房参与(69)が起用。局内に「戦略」「情報」「同盟・友好国」のテーマ別3部門、「中国・北朝鮮」「その他の地域」の地域別2部門とこれらを束ねる「統括」部門を配置し、防衛、外務、警察から部門トップを迎え総勢60人規模でスタートする予定だ。
 折しも中国が尖閣諸島上空に防空識別圏を設定したことで日中関係に焦臭さ漂うこの時期、日本版NSCの力量がさっそく試されよう。
 いわば、本番前の予行演習といったところか。23日には首相官邸に日本版NSCの中核を担うことになる外務、防衛両省など関係省庁の局長級が集まり対応を協議。外務省の伊原純一アジア大洋州局長は同日、駐日公使に「我が国固有の領土である尖閣諸島の含むもので、全く受け入れることはできない」と電話で厳重抗議、防衛省はこの日、尖閣周辺の日本領空に接近した中国軍の情報収集機を自衛隊戦闘機が緊急発進して追尾している。
 25日には参院決算委員会で安倍首相が「尖閣諸島の領空があたかも中国の領空であるかのごとき表示をしており、全く受け入れることはできない」と答弁、中国政府に撤回を要求した。
 ただ、そうはいってもいつもながらに打つ手は限られている。同日の参院国家安全保障特別委員会では小野寺五典防衛相は「今後も我が国周辺の海空行きに警戒監視活動の万全はもとより、国際法および自衛隊法に従い、厳正な対領空侵犯措置を実施したい」と述べていたが、かといって撃ち落とすわけにもいかず。岸田文雄外相いたっては「関係国と協力し中国に自制を求める」といつもながらのセリフを繰り返すだけ。せいぜい、中国大使を外務省に呼びつけ、厳重抗議するのが精一杯だ。
きっと今後は日本版NSCが実行ある解決策を打ち出してくれるはず。看板の掛け替え、掛け声倒れに終わらぬよう、無い知恵を精一杯搾り出していただきたい。

2013年11月25日月曜日

利権のために信仰を捨てた公明党のエセ”平和主義”

自民、公明両党が特定秘密保護法案の衆院採決を当初予定していた22日から週明け26日以降に先送りした。19日に安倍晋三首相と会談した公明党の山口那津男代表が、みんなの党と修正合意にとどまらず、さらに野党との合意形成に努めるよう求めたからだ。安倍政権の強引な国会運営に引きずられる公明党執行部に対しては支援組織の創価学会からかなりの突き上げがあったと聞く。だからだろう、席上、山口代表は15年10月に予定されている消費税率10パーセント引き上げ時の軽減税率導入を「政治決断すべきだ」として、年末の与党税制改正大綱で結論を出すよう強く迫り、弱者、低所得者層への取り組みをアピールした。
さらにこれに前後して行われた記者会見で山口代表は軽減税率の対象品目について「報道を元に知る権利を実質化するという、メディアのはたす役割は極めて大きい。民主主義の必需品ではないか」とも述べ、新聞や雑誌等の出版物を対象品目にする考えを示した。
軽減税率をエサに秘密保護法案への批判を強めるマスコミ世論を懐柔しようとは、いかにも姑息な公明党がやりそうな手口だ。
もとより、軽減税率導入の是非と秘密保護法案の賛否とはまったく別次元の話だ。
軽減税率導入については安倍首相の経済ブレーンの浜田宏一内閣官房参与が「一種の利権となり、政治的な争いになると経済政策に混乱をもたらす。税制も複雑になる」と否定的見解を述べている。まさに公明党はその利権漁りをしているだけのこと。そもそも、景気減速が懸念され、消費税率10パーセント引き上げが可能かどうかも疑わしいのに、軽減税率導入の議論は時機尚早ではないのか。
折しも19日にはアベノミクスの成長戦略を具体化する「産業競争力強化法案」が衆院を通過している。今国会の成立は確実な情勢だ。安倍首相の言葉を信じれば、これで労働者の賃金は上昇し、日本経済は成長軌道に乗るはず。ところが菅義偉官房長官は同日のテレビ番組で「引き上げることによって景気の腰折れがあり、税収が少なくなる状況なら、当然(先送りも)考えるべきではないか」と述べている。
そうなれば安倍首相の責任が問われよう。消費税引き上げはアベノミクスの経済成長を前提にしたものだからだ。利権欲しさにこれに擦り寄り、秘密保護法案の成立を救け、平和の党の看板を汚した山口代表以下、公明党現執行部の罪はもっと重いと知るがいい。

秘密法案強行採決を主導する菅義偉官房長官が狙うポスト安倍の身の程知らず

 特定秘密保護法案の成否をめぐる与野党の攻防は今週、ヤマ場を迎える。同法案を審議する衆院国家安全保障特別委員会の与党筆頭理事を務める自民党の中谷元副幹事長は17日のテレビ番組で「参院(の審議)を考えると、今週が時間的に限界だ」と述べた。政府与党は当初の予定通り21日の衆院採決を強行する構えだ
 また、安倍晋三首相は同日、訪問先のラオスで行った記者会見で「できるだけ多くの方々に法案成立に参加、協力していただきたい」と述べた。念頭にあるのは法案成立に前向きな維新、みんなの両党との修正協議だ。政府与党は19日中に修正案をまとめたいとしている。どちらか一方が修正案で合意すれば、安倍首相は強行採決の批判をかわすことができるわけだ。
 維新、みんなの両党にしても、法案成立に協力することで与党入りへの足がかりにしたいとする下心が透けて見える。保守色の強い両党であれば、政権与党に返り咲いた自民党との連携は自然な流れだろう。これも先の衆参両選挙の民意であれば、後悔先にたたず、である。
 もっとも、この法案がこれまで好調に推移してきた安倍内閣のつまずきの第一歩になることは今のうちから指摘しておきたい。
 何しろ、同法案を「今国会で成立させるべきだ」とする国民は12・8パーセントしかいないのだ。しかも、法案の中身については「あまりよく知らない」、「全く知らない」を併せて44・5パーセントに上っている。タカ派的偏向報道著しい産経新聞社とFNN(フジニュースネットワーク)が16、17両日に行った世論調査の結果である。おそらく一般国民レベルの認知度はもっと低いはずだ。
それでどうして今国会の成立を急ぐのか。ましてや安倍首相自らが「経済成長実現国会」と名付けておきながら。かねてより本欄が指摘しているところだが、ここにきて一つ分かったことはこの法案の強行採決を主導しているのが菅義偉官房長官だということ。「経済成長実現国会」となれば、当然ながら麻生太郎財務相や甘利明経済再生担当相が脚光を浴びることになる。ポスト安倍で遅れをとる菅氏がこれを嫌い麻生、甘利はずしを狙って仕掛けた「特別秘密保護法案国会」というのが、政局的な見方である。
菅氏は来年度予算成立後の早い時期、内閣改造を自ら主導して麻生、甘利両氏を政権の中枢から遠ざけるつもりだろう。
野党との修正合意を目指し、場合によっては次期通常国会への先送りも視野に入れる自民党の佐藤勉国対委員長は、こうした菅氏の政局絡みの動きに振り回されて爆発寸前だとか。
そうであれば、身の程知らずの菅氏の野心が近い将来、安倍政権最大の不安定要因になるに違いない。

2013年11月18日月曜日

金融機関が暴力団との関係を断ち切れない本当の理由

参院財政金融委員会は14日、みずほ銀行の問題融資発覚を受けて21日の審議に佐藤康博頭取ら関係者4人を参考人招致することを決めた。みずほ銀行の経営責任や金融庁の検査体制のあり方などが焦点となる。
 ただ、同行の問題融資をめぐっては先に衆院財務金融委員会で集中審議が行われている。参考人招致された藤田頭取は「社会を混乱に導いた要因であり、深く反省している。反社会的勢力の徹底的な排除に不退転の決意で取り組みたい。具体的成果を早急に挙げていくことが私の使命だ」と述べたものの、金融庁の検査に対して「隠蔽の意図などは認められない」として、意図的な検査逃れを否定した。
 また、金融庁が昨年12月から行った前回検査で問題融資の資料提出を受けていたにもかかわらず事態を把握できなかったことについて麻生太郎金融相は「批判は真摯に受け止めないといけない」としながらも、一方で「みずほ以外に反社会的制直との取引を放置した事例は確認されていない。(みずほ銀行の)組織としての統治能力が十分に機能していなかった」と述べ、問題融資はあくまでもみずほ銀行の経営体質との立場を強調した。
参院でもおそらくこれ以上の答弁は期待できないだろう。
 もっとも責任の所在がどこにあるにせよ金融機関と反社会的勢力との関係を断ち切るのは容易なことではない。
 金融界は警察の持つ暴力団情報を頼りにしているようだが、融資先の一つ一つの認定作業を警察情報に委ねるのは危険である。警察庁は暴対法施行以来、現場の捜査員が暴力団員と会食等、日常的に接触することを禁じたからだ。これでは動向目まぐるしい暴力団構成員や企業舎弟を把握できるわけがない。万が一にも間違った情報で融資がストップするようなことになれば、それこそ情報提供した警察の責任が問われよう。
 さらにいえば、縦割り行政の弊害もある。今回、問題融資発覚の発端となったみずほ系列のオリエントコーポレ-ション(オリコ)など銀行や生保などの提携ローンを扱っている信販会社の監督官庁は経済産業省だ。反社会的勢力を排除するには水際作戦が有効だが、同省に融資をチェックする体制はない。
 13日に行われた自民党の金融調査会と財務金融部会の合同会議で経産省はみずほ系列のオリコや提携ローンを取り扱っている信販会社18社に対して割賦販売法に基づく報告徴求命令を出していることを明らかにした上、問題融資の実態解明に向けた同省の取り組みをアピールしたが、所詮は事後処理でしかない。
また、来年4月をめどに信販会社が加盟する日本クレジット協会が反社会的勢力の情報を集めた新しいデータベースを稼働させる予定だが、これとて基になる情報は警察に頼らざるを得ないわけだ。
そうであれば、まずは銀行と信販会社のチャック体制を統合し、併せて警察の情報収集力向上をはかることが先決だ。不祥事が発覚した時だけ論っても根本的な解決にはなるまい。

景気失速で見えてきたアベノミクスの限界と政権の命運

 内閣府は14日、7~9月期の国内操船産(GDP)速報値を発表した。それによれば、物価変動の影響を差し引いた実質GDP(季節調整値)は4~6月期比0・5パーセント増、年率換算では1・9パーセント増となった。4四半期連続のプラス成長である。
 これについて同日、菅義偉官房長官は記者会見で「消費を含め内需が引き続き堅調だ。景気回復の動きが確かになると期待している」と述べた。また、甘利明経済財政担当相も「内需の動きに底堅さが見られ、景気が引き続き上向いていると考えている」と評価した。
 しかしながら、安倍晋三首相が消費税率の引き上げる際に判断材料とした4~6月期が年率換算で3・8パーセントだった。加えて個人消費の伸びはわずかに0・1パーセントに止まり、輸出にいたっては0・6パーセント減になったことを勘案すれば、景気の先行きはけっして楽観を許さない。金融緩和による円安効果と公共事業頼みの経済成長戦略の限界が見て取れよう。
今国会、確か安倍首相は「経済成長実現国会」と名付けたはずだが、実のところは国民生活とは無縁の「特定秘密保護法案」の行方が気になる様子。菅官房長官は記者会見で「アベノミクスを推進し、早期のデフレ脱却、経済再生につなげたい」とも述べていたが、怪しいものだ。